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(-_-)スイート・タイムのようですζ(゚、゚*ζ


ノートに、文字を書く。
思いつくままに鉛筆を走らせて、文章を作り上げていく。

白いノートが文字で黒く染まっていく姿に、だんだん興奮してくる。
ここに出来上がっていくのは、ひとつの世界。
僕の物語だ。


(*-_-)Φ.。oO(ギコは手にした剣を、空へと掲げた)


今日は、なんだか調子がいい。
考えなくても光景が次から次へと浮かんできて、僕はそれを書き写すのに必死だ。
鉛筆から消しゴムに持ち変える時間すらもったいなくて、間違えた文字は鉛筆で塗りつぶして進んでいく。
わからない漢字も後回しにして、とりあえずひらがなで書いておく。直すのは後だ。


(-_-)Φ.。oO(天から差し込んだ光が、刀身を赤く輝かせる)


行けそうな気がする。
この調子なら下校時間までには、主人公の剣がライバルの鎧へと届くことだろう。


ζ(゚、゚*ζ「ビスキット、チヨコレイト、アイスクリン……」


――だけど、そんな僕の興奮は、お菓子みたいに甘ったるい女の子の声で台無しにされてしまった。



声のする方向を見る。
僕以外には誰もいないと思った図書室。そのカウンターにその子は座っていた。
甘ったるい声、甘ったるい言葉。手にした本の表紙は、女の子っぽいピンク色だ。
ふわふわとした髪の毛を赤いリボンで止めた彼女は、制服を着ていた。


ζ(゚、゚*ζ「シュウクリーム、ゼリケーキ。おいしそー、食べたいなぁ」


図書室では普通、誰も喋らない。もし、喋るやつがいても「図書室では静かに」と、委員が注意する。
だけど、図書室にいるのは僕と彼女の二人だけだし、僕は人としゃべるのが苦手だ。
そして喋っている彼女が図書委員となれば、止める者は誰もいなかった。


(;-_-)Φ.。oO(黙ってくれないかな)


勉強をするやつは、みんな開放されている自習室に行く。
そっちのほうが冷暖房があって環境がいいからだ。
だから、冷暖房の設備がないこの図書室には、本当に本を読む人ぐらいしか来ない。
――そんな環境なら、小説を書くのに集中できると思ったのに。計算外だった。


ζ(゚、゚*ζ「ねぇ、どう思います?」

(;-_-)「ひ、え?!」


気づいた時には、カウンターにいたはずの彼女がすぐそばに来ていて、僕は完全に言葉を失った。
あわてて書きかけのノートを隠したけど、ひょっとしたら見られたかもしれない。
……今日はなんて日だ。僕は心のなかで、大きくため息をついた。





ζ(゚ー゚*ζ「春期限定いちごタルトっていい響きですよね、限定っていうのがとっても素敵で」

ζ(゚、゚*ζ「砂糖菓子で弾丸って、作れると思います?
        デレ――じゃなかった、私は塩の弾や実弾よりロマンチックでいいかなと思うんですけど」

ζ(^ー^*ζ「チョコレートです! 全てのチョコレートに自由を!」


(-_-)「……」


あれから数日。彼女は僕に話しかけてくるようになっていた。

図書委員というのはよほどヒマなのだろうか。僕はすっかり話し相手にされてしまったらしい。
僕は、彼女の言葉に返事も何もしない。それどころか無視しているのに近いくらいなのに、彼女はなかなかめげない。
それどころか、はじめのうちは敬語だったのに、最近では口調も砕けてきている気がする。
最近では僕も慣れて、最初のうちは彼女が来るたびにあわてて閉じていたノートも、ここ数日は開きっぱなしになっていた。


(-_-)Φ「……」

ζ(゚、゚*ζ「どうかした?」


僕は彼女の甘ったるい声に邪魔されながらも、ノートに向かう。
剣を振るう主人公、目の前に立ちふさがるライバル。
主人公は剣を振り、その刃がライバルの鎧に届く――それだけの場面が、どれだけ書いても上手くいかない。

ここ最近はずっとそうだ。同じところでずっと、足踏みをし続けている。
――ああ、今日も書けない。僕は大きく溜息をつくと、今日書いた文を消しゴムで消した。


(-_-).。oO(今日こそは、進むといいんだけど)

ζ(゚ー゚*ζ「こんにちはっ!」


図書室の扉を開けると、今日もカウンターに座っていた彼女が顔を上げた。
彼女の手には、かわいらしい文字でタイトルが書かれた本がある。
よくみれば表紙はまんじゅうの写真。何を読んでるのかわからないが、どうせ甘ったるいやつだろう。


ζ(゚、゚*ζ「ケーキとかもいいけど、やっぱり和菓子っていいよねー。
       デパ地下の和菓子屋さん。今度、行ってみようかな」

ζ(゚ー゚*ζ「ねーねー、甘いモノって好き?」


彼女はいつものようにそばに来て、僕に話しかけてくる。
彼女の話す言葉はいつだって、甘ったるくってくだらないことばかりだ。


ζ(゚、゚;ζ「ねぇってばー」


僕はその言葉をいつものように聞き流しながら、ふと思った。なんだって、彼女は僕に話しかけるんだ。
そもそもどうして、この子は毎日図書室にいるんだろう。他の図書委員はどうしたんだ。と、思うのだけれど、問いかける度胸は僕にはない。
僕は溜息をつく。

ここ最近は、小説もずっと書けていない。
書こうと思うだけで、頭が真っ白になってしまう。
主人公の剣は掲げられたまま、ライバルへと届くことはない。
上手く書けなさ過ぎて、「何でこいつらは戦っているんだろう」なんてことを、考え出してしまうくらいだ。
そうなるともう頭はぐちゃぐちゃで、鉛筆を持っても一文字だって書くことが出来ない。




僕は鉛筆と紙さえあれば、いつだって自分の世界に浸ることが出来た。
本当は鉛筆や紙だっていらない。僕は頭のなかで、自由に冒険の世界に行くことが出来たのだ。
それなのに、最近はさっぱりだ。

頭の中をよぎるのは、図書室にいる女の子の甘ったるい声だけ。
……一体、僕はどうしちゃったっていうんだ。


(;-_-)「……」


( ^Д^)9m「なあ、小森ってキモくないか。いつもコソコソしてるし、エロ本とかもってるんじゃね?」
  _
( ゚∀゚)「ちがうちがう、しょーせつとか書いてるんだって」

(;^Д^)「うぇぇ、なにそれキショッ」


これみよがしな話し声が聞こえるけど、僕には関係ない。
そんなことは言われ慣れてるし、僕には自分の世界がある。
だから、友達でもないあんなやつらに何を言われたって平気だ。……平気なはずだ。

  _
( ゚∀゚)「ぶんげーぶだって。文化祭で部誌くばんてんの見た。
     おーい、マサオくぅーん! 書いてるの見せてくれよー!!」

(;^Д^)「やめとけって、あいつの文章ぜっていキモいし」

(;-_-)「……ぅう」


( ^Д^)9m「ほらみろよ、なにあの声。キメェwww」


……それでも、何も聞きたくなくて、僕はキツく目を閉じた。




逃げ出すようにして駆け込んだ図書室には、今日も彼女がいた。
彼女はいつものようにカウンターに座り、お菓子の名前が書かれた甘ったるそうな本を読んで――、なかった。

彼女の手にしている薄い冊子。見覚えのあるその表紙は、文芸部の部誌だ。
あれには、僕が書いた小説が乗っている。今書いている小説の番外編。主人公とヒロインがライバルと共に遊ぶ、平和だった頃の話。
なんで。なんで、彼女はそんなもの読んでるんだ。


        (;^Д^)「うぇぇ、なにそれキショッ」


頭のなかにさっき聞いた声が響いた。僕を笑う声、僕を馬鹿にする声、それが彼女の声のような気がして、僕は耳をふさぎたくなった。
頭がクラクラする。嫌だ。彼女にまであんなことを言われたら僕は絶対に立ち直れない。何も書けない、書けなくなってしまう。


ζ(゚ー゚*ζ「今日は、書かないの?」


そして、聞こえた言葉に僕の頭は真っ白になった。
彼女は僕が何かを書いていると知っていた。なら、僕の書いているものがちっとも進んでいないことだって気づいているはずじゃないか。
それなのに、「書かないの?」と聞くのか。
……馬鹿にされている、と思った。頭のなかをクラスメイトの言葉がぐるぐる回る。何でそんなこと言うんだ、僕は――


(#-_-)「書けないんだ!!! 書かないんじゃない!!
     もう嫌だ、僕は書きたいだけなのに。なんで、なんでっ!!」

ζ(゚、゚;ζ「……ぁ」

(#-_-)「放っといてくれよ! どうせ君も僕のこと笑ってるんだろ? キモいやつだって、小説書くなんて気色悪いって!!」


ζ(゚、゚#ζ「――そんなことないっ!!!」


僕がはじめて聞く、鋭い声。
その声で、真っ白だった僕の頭がようやく現実に戻ってきた。
彼女は怒っている。それなのに、その目だけは今にも泣き出しそうだった。
そして、気づく。僕はなんて事を言ったんだろう。
――なにもかも嫌になって、彼女の顔をまともに見れなくて、僕は逃げ出していた。




その日から、僕は図書室に行かなくなった。
何も悪くない彼女にあんな顔をさせておいて、図書室に行けるほど僕は図太くはなかった。


(-_-)「大体、あの子がいるのに図書室にずっと行ってたのがおかしかったんだ」


僕はそう自分に言い訳をして、授業が終わるとまっすぐに家に帰った。
ノートに向かう。だけど、僕の小説はちっとも進まなかった。書いていてもこれまでのように楽しくない。
何とか文字を書くことは出来たけれども、仕上がったものはどうしても気に入らなくて、消しゴムをかける。


ζ( 、 #ζ


彼女の顔が、頭から離れない。気づけば、僕は彼女のことばかり考えている。
「そんなことないっ!!」という言葉が、何度も頭のなかをぐるぐる回る。
あの時の彼女は、なんであんなに怒るみたいに声を上げたんだろう?なんで、あんなに泣きそうな顔をしたのだろうか。
彼女のことを思うだけで、僕の胸はちくちく痛くなって、なんだか泣きたくなった。


(;-_-)「ああ、やっぱり書けない!」


――本当はわかっていた。僕は、彼女に会わなければいけない。
彼女にあんな顔をさせて、彼女のことをグチグチと考えたまま小説なんか書けるはずがない。

何日も頭を悩ませて、僕は結局、図書室へ行くことにした。
あれだけ怒ったのだ、きっともう彼女は図書室にはいないだろう。
それならそれであきらめが付く。彼女のいない図書室を見れば、きっと僕の心も落ち着くだろう。





ζ(゚、゚ ζ「……よかった。もう来てくれないかと、思ってた」


――そう思っていたのに、彼女はいつものようにカウンターに座っていた。
そして、彼女はそう言うなり、立ちあがって僕に何かを差し出した。


ζ(>、<;ζ「これっ、おわび!!!」

(;-_-)「え? あ」


それはふわふわとしたピンク色の包みだった。何で? これを? 僕に?
完全に不意をつかれた僕に向けて、彼女は口を開いた。


ζ(゚、゚ ζ「ごめんね。デレはバカだから、ずっとヒッキーくんのジャマをしてるって気づかなかった」

(-_-)「そんな、悪いのは僕で……」


僕も我に返り、彼女にあわてて謝ろうとして、その言葉が止まった。僕の名前は、小森マサオだ。
ヒッキーは確かに僕のことだけど、それは部誌に使うペンネームだ。部員以外は知らないはずだし、彼女にそう名乗ったことはない。
だけど、彼女は僕がヒッキーだと確信を持って話している。


(;-_-)「なんで、僕のこと……」

ζ(゚、゚ ζ「ヒッキーくんだよね、毎号書いてる。デレね、ずっと読んでたんだよ。
      すっごくすっごく好きで、この話を書く人とずっと会いたかったの。
      ……だからね、ノートを見た時すぐに、君がヒッキーくんだって気づいた」

ζ( 、 ζ「デレ本当にうれしかったの。あんまりうれしくって、調子にのっちゃってたんだね。
       だけど、もう迷惑かけないから、ジャマしないから。お願いだから」


「書いて」、と彼女は言った。
真剣な目で、真っ直ぐな目で僕を見て、そして言ったのだ。


ζ(^ー^*ζ「ヒッキーくんは気持ち悪くないよ。
       ヒッキーくんの書くお話はキラキラしていて。きれいで、楽しそうで、デレはずっとずっと好きだったの」


甘い言葉だった。
その笑顔は、言葉は、声は、僕のこれまで知っている何よりも綺麗で、そして甘かった。
――まるで、お菓子のようだ。
無くてもまったくかまわないけれど、あると幸せになれる、嗜好品のようだ。
だってそうだろう、そうじゃなきゃ僕は今、こんなに嬉しくて、幸せなはずがない。


ζ(゚ー゚*ζ「だから、書いてほしい。ヒッキーくんなら、きっと書けるよ」


彼女の言葉。何よりも甘くて優しいその声に、僕は泣きながら馬鹿みたいに頷いていた。




家に帰って、彼女からもらった包みを開けた。

そこにあったのは、ピンク色のおもちゃみたいなお菓子。
本当に食べれるのか?と、食べてみれば、口の中に砂糖をそのまま入れたような強烈な甘さが口に広がる。
なんだこれ?と思いながら噛んでみると、その甘いカタマリは砂みたいにあっけなく口の中で溶けた。


(-_-)「……甘い」


はじめて食べる味だった。だけど、その甘さは嫌いではなかった。
おもちゃみたいな可愛らしい見た目も、その甘さも。僕にはよくわからないところも。
なんだか、彼女に似ている気がした。




その夜、僕は文章を書き上げた。
これまで書けなかったが嘘のように、あっさりと書けた。
出来上がったのは小説なんてきれいなものじゃない。頭のなかにある言葉を並べただけの出来損ないみたいな文章だ。


(*-_-)「書けるじゃないか、僕も」


あのピンク色のお菓子みたいな、甘ったるい子供みたいな文章。
それはなんだか彼女に似ているような気がして、妙におかしかった。
あまりにもひどい出来で、誰にも見せることが出来なかったけど、僕は気に入っていた。

小説を書こう。
今なら、止まっていたあの文章も書けるような気がする。
そして、書き上がったら。彼女に真っ先に見せに行こうと思う。


ζ(^ー^*ζ


僕の文章を好きだと言ってくれた彼女。
僕のはじめての読者。彼女は、僕の小説を気に入ってくれるだろうか?
――そうだったらいいなと、思った。



(-_-)スイート・タイムのようですζ(゚、゚*ζ  了








ミセ*゚ー゚)リ作品投下感想祭~お菓子テロ祭りのようです~ 参加作品
色鉛筆さんの こちら にまとめてもらいました

甘ったるいお菓子みたいなお話を目標に書いてみたらこうなっていた。
こういうピンポイントテーマのお祭りは、投下作を読むのがとても楽しいので、好きです。

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