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('A`)( ^ω^)(´・ω・`)愛は戦争のようです 第四話&おまけ




第四話  かわいいあの娘はヤンデレっ娘?


【 (´・ω・`) 】 二年教室階 男子トイレ


(´・ω・`)「さて、ドクオと離ればなれになってしまったけどどうしようか」

(#^ω^)「……」

(  ゚¥゚)「ここは、作戦遂行の方がよろしいかと。
      眉下さんは昼のうちにやっておかなければならないことがあるとおっしゃってましたが」


委員長をドクオに任せて、逃げてきた僕たちはひとまず男子トイレの個室に立てこもった。
男三人。しかも、いわゆるピザ体系の内藤がいるためかなり息苦しいけど、鍵の魅力には勝てなかった。
僕はドクオと違って、度胸や根性といったものがないからこれでも心臓はバクバク言ってる。


(´・ω・`)「さんは要らないよ。呼び捨てでかまわないから」

(  ゚¥゚)「じゃあ、間をとって眉下くんで。私のことはリリー偽川と」

(´・ω・`)「間をとって偽川くんって呼ばせてもらうよ」

(#^ω^)「……」


内藤が黙り込んでいるだけで、かなり居心地が悪い。
内藤はいつも温厚だから、それが怒っているだけでかなり空気って変わるものなんだなぁ。
作戦に入る前に内藤をどうにかしないと、僕の精神衛生上よろしくなさそうだ。


(;´・ω・`)「委員長にバカにされたのを、そんなに気にしているのかい?」

(#^ω^)「……」

( ;゚¥゚)「これは重傷ですね」


僕と偽川くんは顔を見合わせて困った顔をする。


(´・ω・`)「委員長は口は悪いけど僕たちを心配して言ってくれてるんだ。
      決して僕たちをバカにしているわけじゃないよ。
      ……まあ、ここまで来たんだし作戦を止めることはできないけど」

(  ゚¥゚)「心配してるのは確かでしょうね。
      妙齢のお嬢さんがあのような格好で髪を乱して走り回ってるんです。
      何かしら、思うところはあるんだと思いますよ」


偽川くんの発言は意外とまともだった。
あの妙な趣味とがなければ仲良くなれるかもしれない。
僕が偽川くんに対する評価を上げる一方で、内藤はかなり複雑な表情をしていた。


(;^ω^)「……それはわかるけど、馬鹿って聞いたとたんに頭がカーっとなっちゃったんだお」


ひねくれ者なところがあるドクオや僕と違って、根が単純な内藤にしてはこれは珍しいことだ。
僕は食べ物以外で悩む内藤を、テスト前や夏休みが終わる前日くらいしか見たことがない。


(´・ω・`)「委員長のことがキライなのかい?」

(;^ω^)「キライじゃないはずだお。
      委員長はひどいこと言うけど、けっこう優しいお」


内藤が馬鹿って言われるのは今にはじまったことじゃないのに今になってとは、本当に珍しい。
内藤がここまで動揺するなんて。ひょっとしたら……。


(  ゚¥゚)「これは恋しかありませんね!
      あの子が言ったたった一言が気になる。まさしく恋です」


偽川くん。君は本当に聞きにくいことをさらりと言う人だね。
君には僕の方からGJの称号を与えておかなきゃならないようだ。
さて、内藤のほうの反応はどうかな。


(;^ω^)「違うお!僕の好きなのは昔あったあの子で」

( *゚¥゚)「小さな恋のメロディとはかわいらしい。それで、名前は?」

(;^ω^)「……知らないお。だけど、僕は何かあだ名で呼んでたはずだお。
      何て呼んでたか思い出せないけど。僕はあの子が大好きなんだお」


ブーンの話すあの子の話っていつもあやふやなんだよね。
状況とか会話だとか細かいところは覚えてるのに、肝心なところは曖昧なんだ。


「あの子」の話になるなり内藤は落着きをとりもどした様なので、僕は話を作戦に戻すことにする。
ドクオが帰ってきたときに何もしてないじゃ、どうなるかわかったもんじゃないからね。


(´・ω・`)「標的の眉上シャキンなんだけど、実は僕の従兄弟なんだ。
      というわけじゃないけれど、シャキンの処刑はなるべく甘めにしたいと思う」

( ^ω^)「親戚を手をかけるなんて血も涙もないお」

(´・ω・`)「さっきの双子じゃないけど、似たような顔でチョコに差がつくとキツイもんだよ」

(  ゚¥゚)「世の中はチョコレートのように甘くはいかないものですね」


君なかなかうまいこと言うね。
うん、何で君みたいな人材が漫研にいるんだろう。文芸部とかに行けばいいのに。
そんな雑談でトイレにいる時間を引き延ばすのも嫌だったので、僕は話を進めることにする。


(´・ω・`)「シャキンはどうやら学内一の不良の高岡ハインリッヒに目をつけられているみたいでね。
      今回は、それを利用させていただこうと思う」

( ;゚¥゚)「ハインリッヒってそれマズイじゃないですか」

(;^ω^)「そんなにマズイのかお?」

高岡ハインリッヒは我が校一の不良だ。
不良と言ってもちょっとタバコを吸ったり、学校をさぼってゲーセンに行くような不良っぽい生徒とは違う。
なんというか、かなり前に流行したヤンキーとか暴走族といった部類の生き残りだ。


( ;゚¥゚)「そりゃあ、マズイですよ。もう何人も病院送りって話で」

(´・ω・`)「うん。そのハインリッヒとシャキンを遭遇させればボコボコしてくれるんじゃないかなぁと」

(;^ω^)「甘くするとか言いながら、ここに血も涙もない鬼がいるお」

(´・ω・`)「で、そのハインリッヒへの伝言を内藤に頼もうと思って」

( ゚ω゚)


トイレの壁に内藤が激突する音が鈍く響いた。
まったく。君がぶつかるとこっち側の壁まで震動するんだから、止めて欲しいんだけど。
偽川くんが信じられないようなものを見る目でこっちをみているけど、そちらも無視する。


(´・ω・`)「僕らの中で内藤が一番足が速いし、人当たりもいいからね。
      ドクオだったら多分殴られるだろうし。
      君が適任なんだよ、内藤。危なかったら逃げてくればいいから」

(  ゚¥゚)「さりげなく自分を候補からはずしてませんか?」

(´・ω・`)「僕はシャキンに連絡とらないといけないからね」


何を言うんだい偽川くん。君だって候補に入って無いじゃないか。
「君も同罪だよ」そう言いたかったけど、これ以上イメージを悪くするのも何だからやめておいた。


(´・ω・`)「伝言は『家庭科室で待っています。今すぐ来て下さい』だから。
      渋るようならシャキンの名前出しちゃっていいから。頼むね」

(;゚ω゚)「え……え……?」

(´・ω・`)「内藤は委員長の件でドクオに迷惑かけちゃってるから、挽回するチャンスだよ」


状況が若干理解できてない内藤に向けて、僕は内藤が理解したという前提で語り続ける。
こうやって追い込むのって、自分で言うのも何だけど性格悪いなぁ。
今度、お菓子か食事でもおごってフォローしておこう。


(  ゚¥゚)「僕は何をしましょうか?」

(´・ω・`)「家庭科室周辺に待機。
      ハインリッヒとシャキン以外の人が来ないように見張る必要があるからね」

(  ゚¥゚)「わかりました。ショボンさんは?」

(´・ω・`)「僕も別の場所で待機することになると思う」


偽川くん。内藤の役目についてこれ以上つっこみを入れないとは君も悪だね。
さりげなく君も内藤の役目は決定事項にして話してるじゃないか。


(´・ω・`)「ハインリッヒは昼休みは必ず体育倉庫裏にいるから、頼んだよ内藤」



【 ( ^ω^) 】 体育倉庫周辺


( ^ω^)「僕が委員長のことが好き?そんなことないお。
      僕には思い出のあの子がいるんだお」


僕は体育倉庫へ行きながら、トイレでショボンの言ったことについて考えていた。
確かに委員長は性格や口に目をつぶればかわいい。だけど、だけど。
僕には彼女がいるのだ。
今でも思い出せるあの子の声。あの子の髪型。僕の大切な大切なあの子。


     「わたしねブーンがすき。おおきくなったらケッコンしてもいいよ」


こんなに鮮明に思い出せるのに、あの子の顔だけがぼんやりとして浮かんでこない。
僕はあの子になんて言ったんだろう。あの子は僕に何て答えたんだろう?


      (#^ω^)『委員長なんて大嫌いだお!』


委員長に言った言葉が頭をよぎる。
最後に大嫌いなんて言ったのは小学生の時ぐらいだったと思う。
僕はあそこまで言うつもりじゃなかったのに、ひどいこと言ってしまった。

僕は委員長のことが嫌いなわけじゃないのに。


(;^ω^)「お」


気づけば僕は体育倉庫の前にいた。
そうだ、僕はこれから高岡ハインリッヒという不良に伝言を伝えなきゃいけないんだった。

僕は委員長の顔をいったん意識から遠ざける。
僕の脳裏に映る委員長の顔は、何故か泣きそうな顔だった。


( ^ω^)「ハインリッヒを探さないといけないお」


ショボンはえーと、体育倉庫の裏だって言ったっけ?
体育館倉庫の裏~裏~~と思いながら、僕は移動する。
いつでも逃げれるように屈伸とかアキレス腱とか伸ばしておいた方がいいかなぁ。


(;^ω^)「うぅ~~体育倉庫裏~」


体育館倉庫裏を目指して歩いている僕は内藤ホライゾン17歳。
僕が普通の男の子と違うところと言ったら、思い出の女の子といまだに結婚する気だっていうところかな☆
僕が体育館倉庫裏にたどり着くと、そこには高校にはふさわしくない私服姿の人影がいたんだ。
その人影はヤクルトを飲みながらこういった。


(*゚∀゚)「のまないか?」


(*^ω^)「飲みたいお~」


うほっ、いい不良。
食い物に弱い僕はほいほいとつられて、その人の前まで来てしまったのだ。


(*^ω^)「ヤクルト~ヤクルト~。
       今の僕なら50本だって飲めるお」

(*゚∀゚)「よっ兄ちゃんいい飲みっぷりだねー」


あ、そうだ。ヤクルト飲んでる場合じゃなくて伝言があったんだお。
えーと、何だっけ?


( ^ω^)「えーと、そうだお!家庭科室にすぐ来い!だったような気がするお」

(*゚∀゚)「おうっ!お前いいやつだな。ちょっくら行ってくる!
     ヤクルトあと二、三本くらいあるから飲んでいいぜ!」


僕はハインリッヒさんに手を振りながら、ヤクルトの最後の一滴をどうにか飲もうと頑張った。
それから、貰ったヤクルトを手にすると銀紙に爪を立てた。

不良って結構いい人だお。


(*^ω^)「ヤクルトヤクルト~」

从 ゚∀从「おい、そこのデブ!俺様の指定席で何やってんだよ」

( ゚ω゚)「――ぐほっ」


やべえ、ヤクルトが鼻に入って超イテェ。
ああ、僕のヤクルトが鼻に。鼻にっ!何てもったいないんだお!


从#゚∀从「てめぇ、この泣く子も黙るハインリッヒ高岡様をなめてやがんのか?」

(;^ω^)「――え?」


……あれ?僕やっちゃった?ひょっとしなくても普通にやっちゃった。
さっきの不良が、高岡ハインリッヒじゃなかったの?


( ^ω^ )「高岡ハインリッヒさんですかお?」

从#゚∀从「そうに決まってんだろ!お前もVIP校通ってるんなら知っとけよ。
      あと、こっちみんな」

(;^ω^)「ハインリッヒって言うからてっきり男の人だとばかり」


ハインリッヒはきつそうな顔立ちをした、美人の女の人だった。
そう言われればハインリッヒの来てる物は特攻服だし、確かに不良っぽい。
さっきの人は完全にセーターにジーンズだったし、こっちのほうが不良っぽい。
だけど、ハインリッヒって男の名前じゃなかったのかお?


从#゚∀从「コロスと言いたいところだが、糞オヤジのダメネーミングに免じて許しておいてやろう。
      わかったら、俺がキレる前にさっさと出てけこのデブ!」

(;^ω^)「えーと、あのハインリッヒさんに伝言がありまして。
      で、その伝言をさっき別の人についうっかり」

从#゚∀从「自分で死ぬか俺に殺されるか好きな方を選べ」

(;^ω^)「ごめんだお!男の人だって勘違いしてたんだお!
      それから、伝言!伝言だお!
      家庭科室にすぐ来て欲しいって言うように頼まれてますお!」

从#゚∀从「誰がテメェの言うことなんてくかよ」


ハインリッヒさん、なんかいろいろ生えたとても物騒な武器を持っていらっしゃいませんか?
バットって釘はやしたりするもんじゃないですよねー!!


从#゚∀从「言え誰に頼まれた!」

(;゚ω゚)「ひぃぃぃぃ」


ハインリッヒのバッドが僕のすぐそばの地面に激突する。
ぽっかりと陥没する地面。アレがあたったら死んじゃうお!


(;゚ω゚)「し……」

从#゚∀从「――し?ひょっとしてシャキンかっ!!」

(;^ω^)「え、何で?」


何でここで眉上シャキンの名前が出てくるんだお?
僕はまだシャキンの名前は出してないお。


从#゚∀从「家庭科室だなっ!」


真っ白な特効服をたなびかせて、僕の前から高岡ハインリッヒは走り去っていく。
地面につけられた釘バットの線がとても鮮やかだ。


(;゚ω゚)「怖かったお」


ショボンの従兄弟が死にませんように。僕はこっそりイケメンのことを心配した。



【 (`・ω・´) 】 2-1教室


(´・ω・`)】『――シャキン兄さん。放送は聞いた?』

(`・ω・´)】「お前、何てことしでかしてるんだ。スピーカーからは変な曲が流れてるし。
       いつもは五分前には教室にくる担任も来ないし。どうなってるんだ?
       お前ら本当に学校を乗っ取ったのか?」


俺は携帯から聞こえてくる従兄弟の声に、内心焦りながらも質問を返した。
スピーカーからはアニメっぽい曲が流れ続け、携帯の声は聞き取りづらい。

今日の昼から、学校は妙なテンションになっていた。
突然流れ出して来た、妙な放送。ショボンの声。
それと同時にあらわれた、バレンタインをつぶすという男子の集団。
ウチのクラスでも何人かの男子がそれに賛同して、止めるのが大変だったくらいだ。


(´・ω・`)】「うんちょっとね。そのことで話があるんだ」

川д川     ミ,,゚Д゚彡?

(;`・ω・´)「ちょっとって、そんな問題じゃないだろう!
       お前好きな人がいるって言ってたじゃないか。学校のっとってどうするんだよ」

(´・ω・`)】「……家庭科室。詳しくはそこで話すよ」


電話の向こうの従兄弟の声は憎たらしいほど落ち着いていた。


(`・ω・´)「家庭科室?ちょっ……」


携帯でいいから事情を話してくれ。俺がそう口にする前に電話は切れた。
一方的な電話に少し腹が立つが、放っておくわけにもいかない。
行くしかないんだろうなぁと思って、俺はため息をつく。


*(‘‘)*「どうしたんですか?」

川(`・ω・´)「何でもないよ」

*(‘‘)*「でも家庭科室って言ってやがりました。誰なんです?」


どうやら俺は相当大きな声を出していたらしい。
隣の席の沢近ヘリカルさんが俺の方をじっと見ている。
女子は噂好きだから下手にショボンのことは言えないな。


川д(`・ω・´)「別にたいしたことじゃないよ」

*(‘‘)*「……ちょっと家庭科室行ってくるです」

川(;`・ω・´)「ちょっと待って!沢近さんっ!」


沢近さんは俺の制止をふりはらって、教室を飛び出して行った。


(;`・ω・´)「――マズイ。沢近さんよりも早く家庭科室へと行かないと」


このままじゃ、ショボンと鉢合わせをしてしまう。
バレンタインなのと、放送の影響があって今日の女子は殺気立っている。

沢近さんの後を追いかけ、僕は教室を飛び出す。
あと少しで授業開始だけど、どうせホームルームだ。
それよりも、従兄弟のことが心配だった。


(;`・ω・´)「間に合ってくれ!」



川д川「……シャキン……くん……」


川ー川「うふふふふふ」



【 (´・ω・`) 】 特別棟廊下


(´・ω・`)「じゃあ、偽川くんよろしく」

(  ゚¥゚)「ええ。まかせてください。
      それにしても、家庭科室といえば乙女のカホリですね」


僕たちはちょっとした打ち合わせのあと、それぞれ家庭科室を見渡せるポイントにつくことにした。
もし、シャキンとハインリッヒ以外の人間が来たら止めなければならないからね。
そして、僕たちが配置につこうとしたその瞬間。


(*゚∀゚)「かてーかしつってどこだー!!!」


ジーンズにセーター姿の不審者が、盛大に廊下を駆けていった。
えーと、あれは確か……。


(´・ω・`)「よく図書館で昼寝してる。えーと、確かつーさんだったと」

(  ゚¥゚)「まあ、乙女ではありますけど家庭科室にあうかどうかは……」

(;´・ω・`)「……女?男じゃなくて?」

(  ゚¥゚)「女子でしょう?私の百合センサーは女子だと出てますが」

(;´・ω・`)「そろそろシャキンが来るころだろうから配置につこうか」


つーさんの性別は気になる。だけど、今はそんな場合じゃない。
だけど、ああ気になるなぁ。


(  ゚¥゚)「女子ですよー、絶対」

(´・ω・`)「……うーん」


ややすっきりしないながらも配置についた僕たちのもとに、声が聞こえてきた。
シャキンじゃないけど、女の子の声だ。


*(::::)*「呼び出しだなんて、絶対にチョコレートに決まってるんです
    シャキンくんにチョコなんてチョコなんてチョコなんて
    シャキンくんはヘリの王子様なんです
    だから、呼び出して告白なんて絶対に邪魔をしてやるんです
    あーあヘリがシャキンくんと仲良くなるまでにかけた苦労を知らない奴はこれだかならな」

(;´・ω・`)「……」


制服を着た女の子が何かを呟きながら歩いている。
フラフラとした足取りで、頭を揺らしながらも彼女は歩いている。
その間も彼女はぶつぶつと何かを呟き続けている。


*(::::)*「本当に嫌になっちゃうですぅシャキンくんは誰にも優しいから
    どうしてヘリだけに優しくしてくれないですかぁ?
    シャキンくんにはヘリがいるのに
    ヘリはシャキンくんだけのお姫様なんですぅ」


女の子が天井を見上げニコリと笑顔を見せる。
小さな体にぴったりの、その無邪気な笑顔。


*(*‘‘)*「大好きですシャキンくんっ」


だけど、その笑顔は一瞬で消えて、見えた顔はひどく純真な憎悪。
怒りとか憎しみ妬みとかいったもの。
人間ってあんな表情、出せる物なのか?


*(# )*「どろぼー猫はどこですっ!!!」


そう、叫ぶ女の子の顔は醜かった。


(;´・ω・`)「(やばい!何だか知らないけど強烈にヤバイ予感しかしない!!)」

( ;゚¥゚)「(何なんですかこれっ!!!)」


マズイなんだかわからないけど、あの女の子はマズイ。
シャキンに遭遇したらマズイことをやらかす予感しかしない。
僕は偽川くんに、「なんとかしろ」と合図を送る。


( ;゚¥゚)「ちょっ、私ですかっ?!」

(;´・ω・`)「いいから、早くっ!」


後半は完全に声になってたけど、もういいや。偽川くんがんばって!


( iii゚¥゚)「おじょうさぁん!!!落ち着いてストップストップっ!!」

*(#‘‘)*「どろぼー猫はどこですかぁっ!おいたする猫さんにはヘリがしつけをっ!」

( iii゚¥゚)「ここには泥棒猫とやらはいないから落ち着いて!
      百合の話でもして落ち着きましょう。でなければ、あなたの好きな人のお話をお聞かせくださぁい!」

*(*‘‘)*「えっ?」


女の子の動きがぴたりと止まる。よくやった偽川くん!君は素晴らしい。


*(*‘‘)*「シャキンくんの良さですかぁっ?それはもう頼りになるところですぅ
     それにりりしいところとか、かっこいいところとか」

( iii゚¥゚)「……はい」


さあ、偽川くん。その女の子を家庭科室から遠ざけるんだ。
その子を警察に連れて行くか病院に連れて行くかは、それから考えよう。
その女の子を家庭科室から遠ざけてと偽川くんに合図を送った、その瞬間。


(;´・ω・`)「――っ」

(`・ω・´)「ショボンは一体どこだ!!!」


廊下の向こうからシャキンが現れた。
突然のシャキンの登場に、僕は慌ててシャキンからは見えない死角に隠れる。
僕は何で隠れてるんだろうね。
あんなヤバイ女の子がいるのなら、イケメン処刑計画なんて一旦中断するべきじゃないのか?


   (;`・ω・´)「お前好きな人がいるって言ってたじゃないか。学校のっとってどうするんだよ」


(;´-ω-`)「……僕は」


ここまで来て、引き返せるはずないじゃないか。


望みのない恋愛に賭けたってしかたがない。
だって僕は意識さえされていないんだから。彼女は僕のことなんか見ていない。
親友にさえも伝えられない、従兄弟にだって名前を教えられないこの思い。

好きな人がいることさえ伝えられない僕は、思いを断ちきるつもりでドクオに協力した。
あの放送で名前を告げたのは、臆病な僕が逃げ出さないようにするため。
そうでもしなければ、僕は幼なじみたちからも逃げてしまうから。


(`・ω・´)「ショボンっ!どこだっ!!!」

(;´-ω-`)「……」


せめてドクオや内藤に対しては頼りになる幼なじみでいたかった。
だけど、僕は内藤や初対面の偽川くんまでも嫌なことを押しつけている。
僕はシャキンを助ける勇気も、ドクオの計画を積極的に遂行する意志もない。

僕は周囲に流されるだけの卑怯な臆病者。


(´・ω・`)「今さら僕にどうしろって言うんだよ」


こんな姿ドクオには見せられない。内藤にも、シャキンにも。もちろん彼女にだって。


从 ゚∀从「家庭科室。ここだな」


僕が答えの出ない思考に捕らわれてグダグダしている間に、低い女の声が聞こえた。
そっと、様子を窺うとそこには高岡ハインリッヒの姿がある。
どうやらブーンは伝言をちゃんと伝えてくれたらしい。


从 ゚∀从「用事ってなんだ?」


特攻服に釘バットという凶悪な武装でハインリッヒは家庭科室の様子を受け取っている。
それからポケットに手をつっこんで、隠し武器の確認だろうか?ここからじゃよく見えない。
そして、彼女は家庭科室の扉を開けた。


(´・ω・`)「一応、様子はうかがってみよう」


ドクオの計画に従って動くけれど、シャキンが酷いこにならないように一応は確認しておこう。
うん。確認だけ、確認だけ。


从 ゚∀从「――よう、シャキン」

(`・ω・´)「……高岡さん?」

从 ゚∀从「ハインでいい。一体何の用だ?」


家庭科室の中から、シャキンとハインリッヒの声が聞こえてくる。
ドアを挟んでいるためよく聞こえないが、お互いに相手の出方をうかがっているようだ。


(;`・ω・´)「……その前に、君がここに来た意図を教えてもらいたい」

从 ゚∀从「……」

(`・ω・´)「学内一の不良の君が家庭科室に来るとは思わなかった。
      その理由を聞かせて貰いたい」

从 ゚∀从「それを俺様に言わせるのか?」

(`・ω・´)「僕は君の口から聞きたい」


すぐにケンカになるものだとばかり思っていたが、何故か二人の間では会話が成立してしまっていた。
おそらくシャキン兄さんは僕が介入してないか確認したいんだろう。
それに対するハインリッヒは噂よりも慎重で冷静だ。


从 -∀从「……俺様は……俺は……」


部屋に落ちる沈黙。緊張が家庭科室の中でいっきに高まるのが変わる。


(`・ω・´)「教えてほしい。高岡さん」


シャキンとハインリッヒの奇跡的な会話の応酬はなかなか止まらなかった。
もうそろそろ交渉が決裂してもいい頃合いなんだけどな。
シャキンは僕たちとハインリッヒが組んでいることを恐れているようだけど、違うことなんてすぐわかるはず。


从;゚∀从「あの俺……じゃなかった、あたしはっ」


ハインリッヒの声でその場の雰囲気が変わる。
あたし?ハインリッヒの声は高くうわずっているし、どうにも様子がおかしい。


从 ///从「しゃしゃシャキンのことが、す、す、すっ好きなんだ!!!」

(;`・ω・´)「は?」


(;´・ω・`)「な、なんだってー?!」

ミ,,*゚Д゚彡「これはスクープだからっ!!!」


僕は驚愕のあまり声を出してしまっていた。
ハインリッヒがシャキンのことを好き?真面目一徹のシャキンをハインリッヒが好き?
目をつけられているとは言っていたけど、好意を持たれているとは聞いてないよ?!


从 ///从「ガラじゃねーけど、チョコだっ!受け取れっシャキン。
      ……断ったらぶっ殺すからなっ!!!」


ミ,,*゚Д゚彡「学校一の不良ハインリッヒ高岡、イケメン四天王の一人シャキンに告白っ!
       次の『某スレ』は炎上決定だから!」

(;´・ω・`)「告白?何で、どういうことなの?
       というか、君は一体どこから出てきたのさ?!」


そして、混乱する僕の真横にはデジカメを抱えた男子生徒が一人。
やけにフサフサした髪型が特徴的だけど、初めて見る人だ。
『某スレ』ってことは新聞部?それがどうしてここに。


ミ,,*゚Д゚彡「バレンタインと聞いてイケメンがいくつチョコを貰うかガン見することもう昼過ぎ。
       呼び出しとは聞いていたっすが、まさか特ダネだとは思わなかったっす!!!」


シャキンとハインリッヒの様子をみることに集中しすぎて完全に油断した。
よくよく考えれば偽川くんはさっきの女の子の様子をみるのにかかりきりじゃないか。


ミ,,゚Д゚彡「あ、フサは新聞部で「マジ死ねモテ男ランキング」とかやってるフサギコだから。
      今日は取材活動できたっす!よろしくだから!」


フサギコさんは僕に名刺を差し出してくる。
名刺にはVIP高校新聞部という名前と、シャキンと同じクラス名と、携帯番号とメルアドがかかれている。
あなたの「マジ死ねモテ男ランキング」には主に今日お世話になっています。


ミ,,゚Д゚彡「それにしてもハインリッヒがヤンキーデレ略してヤンデレだとは思わなかったっす。
      いやぁ、本当にいるとは思わなかったからヤンキーデレ」

(;`・ω・´)「ショボンそこにいるのかっ!」

(;´・ω・`)Z「――シャキン兄さんっ!」


ガラリという音がしたかと思うと、シャキンが家庭科室の窓を開けてコチラを見ていた。
シャキンの背後では、ハインリッヒが修羅の目をしてコチラを見ている。
あれだけ声をあげてれば普通、気づくよね……。
何て初歩的なヘマをやらかしてるんだろう、僕。


从 ゚∀从「……お前ら、聞いたのか?」

ミ,,゚Д゚彡「これは噂のハインリッヒ高岡さんっ!是非ともインタビューを頼むからっ!
      ガラス越しだけど証拠写真もバッチリあるからっ!」


从#゚∀从          「?」ミ゚Д゚,,彡


さようなら、イケメンランキングの人。
君さえいなければ作戦はうまく言ったと思うよ。

ハインリッヒは窓枠を飛び越えて、廊下へと着地する。
ハインリッヒは流れるような動きで、釘バットをフサギコさんの頭にたたきつけた。


从 ;∀从「あたしの純情をちゃかしやがって!お前だけは絶対にコロスっ!」


ミ;,,゚Дメ彡「せ、せめてチョコレートが手作りかどうかだけはっ!」

从 ;∀从「手作りに決まってるだろっ!」


ハインリッヒの釘バットが繰り返しフサギコさんを打つ。
一方のフサギコさんも負けてはいない。殴られながらも特ダネの為に必死の取材を続けている。
そして、


(`・ω・´)「ショボン。どういうことなのか、説明してもらうぞ」

(;´・ω・`)「頼りになる従兄弟の恋路を応援しようかと……」

(`・ω・´)「その従兄弟は、バレンタインを撲滅すると言っていたはずなんだが」


いつのまにか家庭科室から出てきたシャキンは僕に向って、眉をつり上げていた。
逃げ出そうとする僕に素早い動きでせまると、僕の肩をがっちりとつかむ。


(`・ω・´)「放送の件について詳しく教えて貰えるんだよな?」


マズイ。ハインリッヒの注意をシャキンに向けようにも、彼女はフサギコさんを殴るのに夢中だ。
偽川くんはあの女の子にかかり切りだし、どうしよう!



【 ( ^ω^) 】 特別棟階段


( ^ω^)「おっおっ。僕はこれで家庭科室へ行けばいいんだおね」


素晴らしい勢いで走り去っていったハインリッヒさんを追いかけ、僕は歩いていた。
といっても、急いで追いかけても気づかれるので僕はのんびりと歩く。
私服の不良さんから貰ったヤクルトはショボンに見つかると怒られるから、ポケットの中だ。
あとでこっそりと飲もおっと。


川д川「……」

( ^ω^)「?」


家庭科室を目指していると、特別棟の階段をふらふらと上っている女の子に気づいた。
特別棟に人影なんて珍しいこともあるもんだお。
時計を見ると昼休みの時間はもう終わっている。


川д川「……うふ……うふふふふふ」

(;゚ω゚)「――っ!」


ビックリした。女の子が突然不気味な笑い声をあげるのだからビビらないほうがおかしい。
おまけにここは学校の階段で、その女の子がお尻まであるだろう黒髪だから余計に怖い。
これが本当の学校の怪談なんちゃって。


(;^ω^)「うはぉ」


それにしてもあの、女の子はどこへ行くのかなぁ。
このまま学校の闇に消えていくなんてことはないおね?
僕はそんなことを考えながら、女の子の進む先をビビり半分、好奇心半分で見守る。


川д川「……うふふふふふふ」


女の子は何かを呟き続けている。その声は小さくて何を言っているか聞き取れない。
女の子は黒髪を揺らしながら、階段から廊下へと足を進めていく。
あれ?これ家庭科室と同じ階じゃないかお?
今は僕が呼んだハインリッヒさんがいるはずで、あぶないんじゃないかお。


(;^ω^)「おっおー。そこのおにゃの子。
      今のこの階は危ないおー!!!」

川д川「……」


慌てて声をかけた僕を女の子が見る。
女の子の顔は長い髪の毛で隠れていて、全然見ることが出来ない。
これって前が見えなかったり、ご飯に髪の毛が入ったりして邪魔じゃないかなぁ。

学校の階段にスダレみたいな髪の女の子。
これで服が着物だったら完璧に幽霊だったのに、おしいね。


川д川「……まってるの。ずっとまってるの
     うふ、うふふふふふふふうふふふふ」

(;^ω^)「あ、あのー」


マズイお。この女の子。
着物を着て無くてもこの破壊力。正直今後とも関わり合いたくないところでもあります。
この女の子と比べると、委員長は常識をわかっていたと思います。反省してますお。
僕の思い出のあの女の子はこんな成長を遂げてないといいお。


川д川「――死ねば、彼は私のもの」


歌うように笑いながら女の子は廊下を歩いている。
女の子は歩いているはずなのに、その動きはめちゃめちゃ早い。


(;^ω^)「ちょっと――!」


僕は女の子を追いかけて、廊下へと足を踏み入れる。
つかみ合う二人の男はショボンと……シャキン?
それから特攻服に釘バットを持ったハインリッヒさんと、何かフサフサとした頭の男子。
遠くには偽川の方のモナーくんと、彼に羽交い締めにされた小さい女の子がいた。

なんだかカオスだね、そうだねプロテインだね。



【 (´・ω・`) 】 特別棟廊下


(`・ω・´)「少しでも早く自首するんだ、ショボン」

(;´・ω・`)「それはできないよ」

ミ,,;Д;彡「ごめんだからーっ!!!で、そのチョコの製作時間は?」

从#゚∀从「三日……って、言わせるんじゃねーよっ!!!」


なんとかシャキンの前から逃げだそうとして僕はもがいていた。
シャキンはあきらめが悪い上に無駄に面倒見がいいから、このままじゃ先生のところへ連れていかれてしまう。
どうにかハインリッヒがこっちに注目するように話題を誘導しないと。


(;´・ω・`)「返事はいいの、シャキン兄さん?」

(`・ω・´)「?」

(´・ω・`)「告白されたんでしょう?それにまだチョコレートだって貰ってないみたいじゃないか」

(;`・ω・´)「――っ!」


これでハインリッヒはこっちに注目するはず。
あとは、ハインリッヒが乙女心をもっていることを祈ろう。
真面目一徹のシャキンは不良が苦手だから、僕たちのイケメン処刑計画もこれで完遂できるはずだと思う。


从*゚∀从「……」     ミ,,゚Д゚彡+キラーンッ


ハインリッヒとフサギコの二人はしっかりと食いついているみたい。
あとは、それにシャキンがどう返事を返すか。それに全てがかかっている。


(;`・ω・´)「……話をそらさないでくれ」

(´・ω・`)「話をそらしているのはシャキン兄さんのほうでしょ。
      ハインリッヒさんは真剣に告白しているのに、ごまかすつもり?」

(;`・ω・´)「お、俺は……」

川д川「……ダメ……だよ……」


言葉を返そうとしたシャキンの背後に、突然女子が現われた。
長い髪が口元をだけを残して隠している少女は、蚊のなくような声で呟く。


川д川「……死ねば……私の……もの……」


少女の手には金槌と五寸釘。
黒髪の少女は金槌をシャキンへとふりあげる。


川д川「私のために……死んでください……」


川д川「……ずっと……みてた……ずっと……」

(;`・ω・´)「君は一体?」


シャキンは金槌を持った少女の手をつかみながら問いかける。
この危ない女の子にシャキン自身も見覚えが無いみたいだ。もちろん僕にも見覚えはない。
武器を持ち歩いている女生徒がこの場に二人もいるという、異常事態。


川ー川「……私は……ずっとみてた……よ……」


黒髪の少女の口元がゆるく弧をを描く。
そして、彼女のもう片方の手に握られた五寸釘がシャキンを襲――


从#゚∀从「あたしのシャキンくんに触るんじゃねぇっ!!!」

川 川「……うぅ……」


五寸釘がシャキンの体に突き刺さるよりも早く。
ハインリッヒの釘バットが黒髪の少女の頭を捉えた。
黒髪の少女は金槌をしっかりと握ったまま、その場にガクリと崩れ落ちる。


(;´・ω・`)Z「シャキン兄さんこっちっ!」


僕はシャキンを階段の方へと向けて引っ張る。
シャキンも我に返ったのか、黒髪の少女をつかんでいた手を外し移動した。


川д川「……逃げちゃ……ダメ……」


頭から血を流しながら少女は立ち上がる。
その様子は殴られる前と何ら変わりはない。長い黒髪、蚊の羽音の様な小さな声。
金槌を持った手をシャキンに差し伸ばしながら、少女は言う。


川ー川「……あなた……は……私の……もの……」


(;`・ω・´)「済まないが、僕は君のことを知らないし君のものになるつもりもない。
       もちろん殺されるつもりもない」

川д川「……だから……殺すの……そうすれば……シャキン……くん……」


頭から流れ出る血の色が、彼女の白い肌とあいまって鮮やかだ。
学校の今この時、この階だけが異世界になってしまってしまった様だった。


川д川「……だいすき……」


(;^ω^)「ショボーン!なんだかプロティンだよー!」

(;´・ω・`)「内藤っ!」


振り返るとそこには内藤の姿があった。
助かった。正直この事態は僕には手に余るところだったよ。


(;^ω^)「何が何だかイミフなんだお。三行で頼むお」

ミ,,*゚Д゚彡「スクープ!イケメン四天王・シャキンをめぐる三角関係っ!
       ヤンキーデレとキチデレは武器をとるっ!シャキンの心は誰のものっ?!」

(;´・ω・`)「――大体そんな感じ」


説明しようとしたところで、丁度フサギコが声を上げたのでこれ幸いと僕は便乗する。
こうやってまとめてみると、僕たちの存在って必要ないような気がするなぁ。


从#゚∀从「うっせぇ!うっせぇ!さっきからシャキンは俺様のものだって決まってるんだよ!
      運命の赤い糸占いでもそう出てたんだから間違いないねっ!」

川д川「……うる……さい……」

*(#‘‘)*「黙りやがれっ!シャキンくんはヘリの王子様なんですぅ!
     ヘリとシャキンくんはかわいー一戸建ての家を買って、かわいい犬と一緒に暮らすんですぅっ!
     雌豚共が邪魔すんじゃねぇっ!お前らみたいな萌豚はそこらへんで腰ふってりゃいいんです!」


(;^ω^)(;´・ω・`)ミ,,;゚Д゚彡「また、増えたーーー!!!」


ハインリッヒと黒髪の少女の間に、偽川くんに託したはずの少女の姿があった。
彼女の手には家庭科室から持ち出したのか裁ちバサミがしっかりと握られている。
そのハサミをカシャンカシャンと開閉しながら、彼女は怒りの声を上げた。


(  T¥T)「眉下くんすいません、逃げられました」


偽川くんはと見てみると彼は、股間を押さえながら腰を引いた微妙な動きで僕たちの方へとやってきた。
僕と内藤は偽川くんがあったであろう災難に、自分の股間を押さえた。


(;`・ω・´)「沢近さん。一体どうして……」

(;´・ω・`)「あの子ずっとあんな感じなんだけど、とにかくあの騒ぎをどうにかしてよ」

(;`・ω・´)「沢近さんは隣の席ってだけだし、黒髪の方の子とも話したことなんかない。
       高岡さんを止めるなんてそもそも無茶だろ」

(´・ω・`)「でも、みんなシャキン兄さんが好きって言っているじゃないか!」

(#`・ω・´)「武器持って襲ってくる女の子にどうしろって言うんだ」


僕の言葉にシャキンが怒り出す。
どうしてシャキンはこんな個性というかアクの強い女の子にばっかり好かれるのさ?


*(*‘‘)*「シャキンくん。こいつらぶっ殺すから待っててくださいなのですぅ!」

从#゚∀从「シャキンは俺様のもんだ!ドチビは幼稚園にでも行ってろ!
      結婚だと?ドタマかち割るぞオラァっ!!!」

川д川「……私のもの……私のもの……私のもの……」


(;`・ω・´)「ひぃっ!」


女の子たちが手にした武器をかざしながら、シャキンに笑いかける。
「逃げたら殺す」口には出さないが三人の目はそう告げている。
ごめんシャキン。助けたいと思ったけど、僕には無理だ。


(;^ω^)「なんという理不尽な強制誠死ね状態」

ミ,,;゚Д゚彡「次の見出しは、
       『家庭科室に響くnice boatの惨劇。イケメン四天王・シャキンをめぐる三人のヤンデレたち』
       だから。このままなら、学校新聞だけじゃなくて全国紙にも売り込めるから」

( ;゚¥゚)「落ち着きなさい。私は百合の使徒。
      たとえ武器を持っていたとしても殺し合っていたとしても、私に不可能はないはずです。
      閉ざされた全寮制の女学校や、牡丹と薔薇咲き乱れる豪邸でなくても私には可能っ!」


ああ、みんなが冷静さを失っている。
ドクオ。せっかく任せてくれた大任だけど僕には荷が重すぎみたいだ。


甘い乙女の祭典が、地獄絵図に変化するのに時間はかからなかった。

家庭科室のハサミを持ち出してかまえる身長の低い女の子、
愛用品だと思われる釘バットをかまえるハインリッヒ、
そして、五寸釘と金槌を手にニタリと笑う黒髪の不気味な少女。

それぞれが手にした武器とシャキンを交互に見て、幸福な笑顔を浮かべる。


( *゚¥゚)「『お姉様っ!お姉様が男のものになるなんてガマンできません。それくらいならっ!』」


身長の低い女の子がハインリッヒの顔へ向けて、重量のある裁ちバサミをくり出す。
ハインリッヒはバットでそれをいなしつつ、黒髪の少女に蹴りを放つ。


( *゚¥゚)「『待って!お姉様は私のものよっ!それを邪魔するなんてゆるせないわ
       キ――ッ』。おお、これはこれでアリですね」


黒髪の少女はにたりと笑うとハインリッヒの足にとりつき、それを思いっきりひいた。
バランスを崩したハインリッヒに向けて、ハサミが襲いかかる。


从#゚∀从「くっ!」


襲い来るハサミを体をひねって回避。
崩れた体制のままハインリッヒは、バットを足に張り付いた少女へと向ける。


( *゚¥゚)「『嫌よ嫌っ!私はあの人が好きなのっ!私の体は彼のものなの。
       あなたたちのものにはならないわっ!』」


――偽川くん。そろそろその変な吹き替えはやめようか。
雰囲気(何故か変換できる)、全然あってないから。


从#゚∀从「死ねぇぇぇぇ゙っ!このビチグソがぁっ!!!」

*(#‘‘)*「黙れ黙れ黙れ黙りやがれですぅっ!!!」

川∀川「……シャキンくん……シャキンくん……」


(`;ω;´)「誰か、どうにかしてくれっ!!!」


シャキンの悲痛な声が家庭科室前に響き渡る。だけど、僕はそれをどうすることもできない。
どうしてこんなことになってしまったんだろうそう思う僕たちのもとに、廊下を駆ける足音が響く。


(*゚∀゚)「ひとがいっぱいだぞ――!!!」

Σミ゚Д゚;,,彡「赤い悪魔来ちゃった――!!!」


目を向けるとそこには、さっき通り過ぎていった謎の私服少女だか少年がいた。
その手には――包丁っ?!


(*゚∀゚)「オレも混ぜろ――!!」

Σミ゚Д゚;,,彡「つーちゃん!つーちゃんは今日学校休みだからっ!
        混ざる必要とか全然無いからっ!!!」

(*゚∀゚)「受験勉強とかつまらないから、ばれんたいんの包丁をお届けだぞー!
     乱闘現場を伝言で速報するとかフサもナイスなことするなぁ!」

ΣミTДT,,彡「これ以上、話をややこしくしないでほしいからっ!」


フサギコが包丁の主に対して何か必死に説得している。え、知り合いなの二人は。
こんな知り合いに連絡を取るとは、彼もいい加減にしてもらいたい。


(;´・ω・`)「どうしよう、内藤。正直、僕じゃ事態に収拾がつけられないんだけど」

(;ii^ω^)「おっ?僕は何にも知らないお!知らないったら知らないんだお!」

(;´・ω・`)「知らないじゃなくて考えてくれよ、内藤」


内藤はよほど怖いのか真っ青な顔をしている。逃げ出したいのかそわそわしていて挙動も怪しげだ。


(*゚∀゚)「いざ、じんじょーに勝負――っ!!!」

ミ,,TДT彡「つーちゃんらめぇぇぇぇぇっ!!!」

(#゚∀゚)「オレがどんどんぶっ殺してやる!!」


从#゚∀从「うっせぇ、お前こそ死にやがれっ!!!」

*( #)*「どうしてヘリとシャキンくんが幸せになるのを邪魔するんですかぁ?
     あの萌え豚たちさえいなければ、ヘリのものなのに。死んじゃえばいいんだ。
     見ててシャキンくん!こいつ殺すからっ!!!」

川д川「……すきあり……うふふふ……」


(;`・ω・´)「俺のために争うのはやめろっ!」


内藤は今、頼りにならない状態。シャキンは女の子たちに睨まれて下手に動けない。
女の子たちは凶器を片手に、真剣に殺し合い。偽川くんは妄想の世界に旅立ってしまった。
フサギコは事態をややこしくした犯人の一人だから、彼に対する僕の評価は今とことん悪い。

だけど、僕はこの事態をどうにかしなければならない。一体どうやって?


(´-ω-`)「……もうこの手段しかないか」


僕は携帯電話にじっと目を落とす。
これだけは絶対やりたくなかった。だけど、ドクオについて作戦を遂行するにはこれしかない。
シャキンもイケメンにふさわしい処罰をもう充分にうけているはずだから、これでいいはずだ。


(´・ω・`)「内藤、逃げよう」


僕はちっぽけなプライドを自分の中に押し込める。
ポケットから愛用の手帳を取り出し紙を一枚破ると、そこにメモを書き付ける。


(;^ω^)「何してるんだお?」

(´・ω・`)「伝言をね。このままシャキン兄さんを放っておくのは忍びないから。
      あとは、偽川くんがちゃんと我に返ってくれるといいんだけど」


( *゚¥゚)「『お、俺は不良なんだっ!いまさら女の子になんかなれっかよ!』
      『そんなことないですぅっ!ハインさんが女の子らしいことペ二だけは知ってますぅ』
      『――お、俺はっ!』
      『ハインはオレといっしょにレディースの頂点をめざすんだ!じゃまするなら殺す!』」


僕は壮大な妄想を垂れ流す偽川くんの手に、書いたばかりのメモを握らせる。
それから内藤の肩をたたき階段を指さす。内藤はシャキンと僕と階段を見て、それから小さく頷いた。
僕は口元に指をあて「静かに」と合図を出しながら、足音を殺して階段へと向う。


(;^ω^)b『おk』


内藤がそろそろと歩き出すのを見て、僕は二つ折り携帯を開いた。


(´・ω・`)】


ポケットから取り出した紙を見ながら番号を入力する。
そして、通話ボタンを押した。


ニーコニコ動画ーララーラーラー♪


ミ,,*゚Д゚彡】「あ、フサに着信だから」

(´・ω・`)】『うんすまないこれはオトリ用の電話だから観念して欲しい。
       君はこの電話を取ったとき死亡フラグみたいなものを感じてくれたと思う
       その予感はばっちり当たっているからあきらめてほしい』

ミ,,lll゚Д゚彡】「……」


僕は電話が通じると同時にダッシュで階段へと走り出した。内藤もそれに遅れじと僕の後へと続く。
フサギコの名刺がこんなところで役に立つとは、正直意外だった。
世の中、何が役に立つのかわからないものだね。


从#゚∀从「俺たちの戦いに水差すとはいい度胸じゃねぇか」

*(#‘‘)*「丸刈りにしてやろうかこのフサ毛!」

(*゚∀゚)「マル狩りっ!」


ミ,,lll゚Д゚彡「フサは悪くないからっ!悪くないからっ!」


川*д川「……シャキン……くん……死んで……」

(`;ω;´)「無理!」


シャキンとフサギコの声が聞こえる。僕はそれに目をつむって全力で駆ける。
心配してくれたのにごめん、シャキン。


( ;゚¥゚)Z「うわっと、私は無関係なんですから巻き込まないでくださいよ!
       女の子のガチバトルとかからみを見せて下さい。
       いえ、あなたがたがシャキンさんのことをお好きなのは充分理解してます、はい。」


偽川くん、全ては君に託した。頼むから気づいてくれよ。


(;^ω^)「おっおー、あれでいいのかお?」

(;´・ω・`)「だって、あれ以上は僕にはどうしようもないよ。
       シャキン兄さんとドクオ……には後で謝っておくよ」


僕たちは階段を駆け下りる。目指すはドクオとの合流。
残るイケメンは1組の浦良モララーただ一人だ。



【 川 ゚ -゚) 】 校長室前廊下


ノハ*゚⊿゚)「おーねーえーさーまぁぁぁぁぁっ!!!」

川;゚ -゚)「く、苦しいぞヒート」


私を呼ぶ声が響いたかと思うと、首に人間一人分の体重のかかった腕が回された。
犬のように甘えられるのは嬉しいものだが、自分の年と節度というものを少しは考えて欲しい。
ヒート。首を絞めれば人間は死ぬものなんだぞ。


ノパ⊿゚)「お姉様に言われたことちゃんと確認してきたから報告するぞ」

川 ゚ -゚)「連絡は携帯でいいって言ったはずだが」

ノハ*゚△゚)「そうだったか?でもあたしはお姉様に会いたかったぞおっ!」


私はヒートを体から引きはがすと、頭を撫でてやる。
ヒートは子供のように嬉しそうに笑うと、報告をはじめた。


ノパ⊿゚)「1-3組だが、何人か人がいるのが見えたぞ。
     お姉様に言われたから開けなかったけど、鍵が閉まっているっぽかった」

川 ゚ -゚)「何人か?全員じゃないのか?」

ノハ;゚⊿゚)「えーと。1-3は廊下でおしゃべりしたり、図書室行ったり、よそのクラスへ行ったり、
      運動場で遊んだりいろいろしてるみたいだったぞ!
      ちなみに、他のクラスもにたようなかんじだ」

川 ゚ -゚)「ふむ。反乱組はそれほどいないのか?」

ノパ⊿゚)「いや、何かチョコレート徴収ー!とかやってる男子もいっぱいいたぞ!
     おもしろそうだったから、混ざってチョコレート食ってきた」

川#゚ -゚)「……」


ヒート。私は事件を止めるために、1-3の情報が欲しいと言ったはずだが、言葉が足りなかったかな?
想定の範囲外の言葉が聞こえてきたような気がするんだが。


ノハ;゚⊿゚)「い、今のは冗談だ!」

川 ゚ -゚)「鬱田、内藤、眉下らしき人物は?」

ノパ⊿゚)「それはわかんないぞー。
     1-3の委員長とモララーってやつが同じこと聞いて回ってるらしいぞ」

川 ゚ -゚)「委員長か」


チョークの粉まみれの少女の姿が一瞬脳裏によぎる。委員長とは、おそらく彼女のことだ。
間違いない。彼女は鬱田たちを止めるために必死で探し回っているのだろう。
おそらく、たった一人で。


ノパ⊿゚)「あ、あとなー。職員室のところで米くってる妙な女を見た奴がいたぞー
     1-1のギコってやつだ。奴の友達も行方不明で大変らしーぞぉ!」

川 ゚ -゚)「ふむ、頑張ったなヒート」

ノハ*゚⊿゚)「えへへー。ほめてもらえてうれしいぞぉ」


ふむ。1-1のモララーといえば学内でもよく噂になる人物だな。その容姿が大層人気だと聞いている。
ギコというのは……確か、野球部の選手だったな。新人戦で大活躍したと聞いている。
ヒートの頭を撫でながら私はこれまで出た情報を整理する。

学校占拠放送の真意を探ろうとしたり、止めようとしている生徒はかなり少数だがいるようだ。
彼らと連絡が取れれば、私の行動も楽になるのだがな。


ピリリピリリピリリ


ノハ*゚⊿゚)「お姉様に電話みたいだぞ」


ヒートは私の制服から勝手に携帯を取り出すと、さっさと通話ボタンを押してしまう。
ヒート。どうして君は勝手にそんなことをしてしまうんだ。私はため息をつきながら、電話に出た。


川 ゚ -゚)】「素直だ。どちら様かな?」

( ;゚¥゚)】『えーとですね、この番号に連絡するように頼まれた者なんですが……』


電話の向こうからは知らない男の声が聞こえてきた。
頼まれた?私の番号を知っているものは、それほどいないはずなのだが。
それも男となるとより一層限られてくるのだが……。


( ;゚¥゚)】『それで私、現状をこの番号の主に報告するようにメモで頼まれておりまして』

川 ゚ -゚)】「何だ?」


男の言葉はいまいち歯切れが悪い。
紙か何かを見ながら行っているのが、ときおり言葉につまる様子も見られた。


( ;゚¥゚)】『今、家庭科室前で釘バットとかハサミとかハンマーを持った女の子たちが殺し合っています』
  _, ,_
川 ゚ -゚)】「切っていいか?」

( |||゚¥゚)】『いえ、待って下さい!そう、暴れている女の子の中に高岡ハインリッヒもいるんです!
       このままじゃ、誰か死にますから助けてくださいっ!』


高岡ハインリッヒ……ハインリッヒ高岡……学内一の問題児じゃないか!
その彼女が暴れてるだって?


川 ゚ -゚)】「その話は確かなのか?」

(  ゚¥゚)】『……ええ。嘘はついていません』


私は目を閉じて思考する。
私の携帯番号を知っているのは、友人、所属している吹奏楽部のメンバー、それから……。
彼に私の番号を教えた人物はおそらく――。


川 - -)】「わかった。どうにかしよう」


彼が何の目的でこの様な電話をさせたのかわからない。
罠なのか、それとも私を頼ってのことなのか。


川 ゚ -゚)「ヒート、また頼んでもいいか」

ノハ*゚⊿゚)「お姉様のためならよろこんでっ!!!」


それでも、今の私はそれにのるしかない。
今の私に必要なのは、正確な情報。
その情報が得られるのならば、たとえ罠だとしても行くしかない。


川 ゚ -゚)「家庭科室へ向って、高岡ハインリッヒたちを止めて欲しい。
     くれぐれも、無茶はするな。無理なら逃げてくれ」



【 ('A`) 】 渡り廊下


('A`)「さてと、あいつらとどうやって合流するのかだな」


委員長から逃れた俺は、携帯の電源を入れた。
それからポチポチとメールを打つが、奴らが見ているかどうかは正直自信がない。
作戦行動中かもしれないから電話をかけるのもアレだし、どうするか。


('、`*川「まったく、どうやって合流するかくらい決めときなさいよ」

('A`)「うるせー、最底辺オタ女」

('、`#川「本にして出すわよ!パチキンにしてやるからっ!」

(#'A`)「だまれ、お前のスカートめくるぞ!」

('、`*川「いやーん、めくってみなさいよ!ハーフパンツなめんな!」

(#゚A゚)「せめてスパッツはけよっ!!!」


何故か着いてきた漫研部長と共に、俺たちは校内を歩いていた。

落ち着け。Bカップ女ごときにペースを乱されるな。クールになれKOOLになるんだ!
KOOLと言えばあの主人公、女にモテモテでいいよな。
何あのチート野郎。バレンタインを迎えられずに死ね!


('、`*川「で、正直な所どうするの?愛のテレパシーとかはないの?」

('A`)「とりあえず特別棟沿いに迂回して教室に戻るってところか」

('、`*川「何で教室?」

('A`)「――モナーを回収しに行かなきゃなんねーんだよ」


地味女に理由を語ろうとしたところで、正面を歩く人影に目が釘付けになった。
ふわふわの金色の髪、かわいらしい笑顔。


ζ(゚ー゚*ζミセ*゚ー゚)リ(゚、゚トソン


デレたんがいた。
井出礼花。はなやかな顔立ちに推定Fカップのバスト。
おっとりとした天然キャラで有名な学園のアイドル。俺のあこがれのおにゃのこ。


('、`*川「あー、あの女。女子からはびっくりするほど評判悪いわよ。
     男に媚びまくってるとか性悪とか。『某スレ』みなさいよ『某スレ』」

(#'A`)「お前こそ『総合』みろよ『総合』!デレたんの愛らしさにひれふせ愚民共」


デレたんに会えた幸福を心のアルバムとオカズ収納ボックスへ収納しようとしたところで、部長に邪魔された。
これだから、負け犬はダメだね。地味のくせに嫉妬だけは一人前だ。


('、`*川「アンタこそ現実見なさいよ!ウツダだっけ?
     アンタなんか攻め様に挟まれて大変なことになっちゃえ」

('A`)「激しく不愉快な発言をされた様な気がする」

('、`*川「あーら、新世界じゃない新世界!女なら無理でも男なら好かれるかもしれないわよ」

(#'A`)「そんな不愉快な青春送ってたまるか」


ああ、俺はデレたんを前にして何をしているのだろう。
おれは心のアルバムを充実させるべく、デレたんの姿をこっそりと覗き見る。
すると、ああ、どういうことだろう。


ζ(゚、゚*ζ


デレたんとその他の女子たちが俺の顔をじっと見ていた。
友達の顔までかわいいなんて流石はデレたん。
そして、俺の顔をじっと見るということは……これは、フラグ?


(*'A`)「あ、あの僕に何の様ですか」

ζ(゚、゚*ζ「うつだ?」

(*'A`)「ええ、僕は鬱田です。鬱田ドクオと申しまして」

ζ(゚ー゚*ζミセ*゚ー゚)リ(゚、゚トソン「う つ だ」


デレたんとその友達たちが真剣な顔をして俺の顔を凝視する。
一気に三人なんて、モテる男は辛いなぁ。
デレたんたちに見つめて貰えるなんてわかるなら、バレンタイン中止なんてしなかったのに。


ζ(゚益゚#ζミセ#゚益゚)リ(゚益゚#トソン「――てめぇが主犯かっ!!!」


そこには修羅の表情をした学園のアイドルと、その友達たちがいた。


(;'A`)Z「ひぃっ!どうしちゃったのデレたんっ!」


ζ(゚益゚#ζ「死ね!!死にやがれっ!!!」

ミセ#゚益゚)リ「バレンタイン中止なんて頭わいてんじゃねーの?」

(゚益゚#トソン「義理チョコレート、義理チョコレート、義理チョコレート」


そこには修羅がいた。
委員長なんてこのデレたんたちに比べるとかわいいものだ。というか、部長でさえもマトモに見える。
でも、デレたんに言われるとちょっとだけ気持ちいい!!ビクンビクン


(*'A`)「もっとののしってくださいっ!デレたんっ!!!」


ζ(゚益゚#ζ「今すぐ首吊って死ね」

ミセ#゚益゚)リ「今すぐ窓から飛び降りて死ね」

(゚益゚#トソン「首に縄かけて屋上から飛び降りて死ね」


デレたんとかわいい女の子が俺を見てる見てるよぉっ!
ウジ虫を見るような目だけど、気持ちよくて興奮しちゃうのぉぉぉっ!!!


('、`*川「うーん。あれが男なら美しい図なのになー」


浴びせられる罵声と、くり出されるキック。
デレたんのパンツはフリフリレースの純白っ!!!
縞ぱんが神による萌えの方程式なら、純白は永遠の鉄版スタンダードっ!!

そっちの髪飾りのおにゃのこは爪を立ててくるなんて、痴話げんかみたいだね!
クールな態度がたまらないうなじが綺麗なあの子なんかは、シリにキックなんてとっても大胆っ!


(*'A`)「もっと踏んでぇぇぇーっ!!!」


あまりの気持ちよさに、俺は使命を完全に忘れた。



【 ( ^ω^) 】 1-3教室


( ´∀`)「モナたち一体いつまでこうしてればいいモナかね?」

(=;ω;)ノ「ううぅ、僕が何をしたんだよぅ」


空き教室からベランダに入り込み、僕は自分の教室を目指す。
途中で連絡してあったこともあって、教室へはあっさりと入ることが出来た。


(;´∀`)「モナは毎年チョコはもらえるから、別にバレンタインがあっても」

|  ^o^ |「ぎりチョコ かくほぐみ じちょう」

| ^o^ |「だまれ ぎりチョコ もらえるぐみ」


モナーくんがどうしてるか心配してたけど、みんなと仲良くしているようでよかったよかった。
モナーくんは、いよぅくんやブームくんたち(僕にはとてもじゃないが二人を区別できない)と楽しそうに話している。


( T∀T)「義理って言うなー!ちゃんと気持ちがこもってるモナ!」

|  ^o^ |「おかあさんと いもうとの あいじょう おいしいです」

| ^o^ |「ほんめいのいる おさななじみの ぎり おいしいです」


(=゚ω゚)ノシ「いようぅはちゃんと本命ももらえるよぅ」

( T∀T)「仲間だと思ってたのにひどいモナ!」


モナーくんはとっても楽しそうだった。それにしても、モナーくんは地味にツッコミ上手だお。
隠れた才能にwktkが止まらない……って、そんな場合じゃなかった。


( ^ω^)ノシ「おいすー、待たせてごめんだおモナーくん」

Σ(´∀`;)「モナっ?!何だ、内藤くんだモナ」

(;^ω^)「放っておいて正直すまんかったお。決して忘れていたわけでは」

(´∀`;)「それは忘れたって言ってるのとほとんど同じかと」


わおぅ、流石は隠れたツッコミマイスター。ツッコミが早いお。


(´∀` )「それで、モナーを捕まえて何の用だモナ?」

( ^ω^)「話が早くて助かるお。用事はえーと……」


僕はショボンの言った言葉の内容を思い出す。えーと、何だっけ?


(´・ω・`)「僕はドクオに放送室へ来てもらうようにメールしてるから、内藤はモナーを連れてきてもらえるかな。
      モナーにはモララーの居場所をつきとめてもらいたいんだけど、無理ならいいから」

( ^ω^)「おっおー。合流は放送室かお?」

(´・ω・`)「うん。変更があるようなら電話かメールするから。
      僕は職員室の様子を見てから行くから」


うん。思い出したお!
モナーくんにモララーを探して貰いつつ、放送室へ行けばおk。


(*^ω^)「かくかくじかじかだお!」

(´∀`;)「日本語でおk」


僕とモナーくんにちゃんと説明してから、ブームくんたちに手を振って教室を後にする。
ベランダをよっつんばいになりながら空き教室へレッツ&ゴー。


( ^ω^)「あ、せっかくだからモララーが今どこか教えてほしいお」

(´∀`;)「いいけど、何する気モナ?」


「内緒だおー」と言いながら僕は廊下を進んでいく。
モナーくんはちょっと困ったような顔をしていたけど、携帯の電源を入れた。



【 川 ゚ -゚) 】 校長室前


( ФωФ)「津出麗子とシュールという女生徒を探しているが知らないか?」


ヒートを送り出した私は、突然長身のがっちりとした生徒に話しかけられた。
校章を見てみると何と一年。驚くことに彼は三組の生徒の様だ。

三組という当事者の存在に私の心は高まる。
放送が始まってからそろそろ一時間。ようやく、当事者に出会うことができた。
私ははやる心を抑えて冷静に男子生徒に言葉を返す。


川 ゚ -゚)「……何か特徴は?」

( ФωФ)「津出の方は巻いた髪をツインテールにしている。
       シュールの方は米と言ったり、米を持ち歩いているからすぐわかるはずなのである」

川 ゚ -゚)「それは、1-3の生徒による学内占拠宣言と関わりがある生徒か?」


背の高い男子生徒は沈黙した。この場合の沈黙は肯定ととるべきだな。
占拠事件に関わりがある人物を捜すということは、彼もまた関係者か。

前者の髪型に覚えがあった。それは、職員室に現われた少女のものと同じだった。
ということは、津出という生徒は……職員室に現われた1-3の委員長。彼女だろうか?


川 ゚ -゚)「津出という生徒は1-3の委員長だな」

( ФωФ)「ああ、そうだ」


私の考えは的外れのものではなかったらしい。
私が委員長という言葉を出したとたん、沈黙していた男子生徒は言葉を発した。


川 ゚ -゚)「私は彼女たちの行方を知っているわけではない。
     しかし、私も彼女たちを探している」


彼ならば私の力になってくれるかもしれない。
そうでなくとも、こう言えば何らかの反応があるに違いない。


川 ゚ -゚)「私は素直クー。生徒会長としてではなく、私自身の意志でこの事態を止めようとしている」


私は私の立場を明確にする。さあ、お前はどうなのだ?答えろ、3組の男子生徒。


( ФωФ)「1-3杉浦ロマネスク。
        あることを約束してくれるなら、我輩は作戦会議で伝えられた全情報を渡そう」

川 ゚ -゚)「それは信用していいのか?」

( ФωФ)「我輩には信じて貰うしかないである」


作戦会議の情報。喉から手が出るほど欲しい情報だ。
だが、それを信じていいものかどうか私には判断できない。
完全な疑心暗鬼。だが、聞いてみないことには全てははじまらない。


川 ゚ -゚)「条件を聞こうか」

( ФωФ)「先ほどの話に出てきた、シュールに対する処罰の不問、もしくは減刑」


彼の言う「シュール」とやらの特徴が確かならば、思い当たる人物がいる。


   ノパ⊿゚)「あ、あとなー。職員室のところで米くってる妙な女を見た奴がいたぞー
        1-1のギコってやつだ。奴の友達も行方不明で大変らしーぞぉ!」


職員室で米を食う怪人物など、そういるはずがない。
それから職員室を封鎖した木材に描かれた、『米こそ至高』の文字。
おそらく彼女こそが、職員室を封鎖した犯人なのだろう。そして、彼は……おそらく私と同じだ。


川 ゚ -゚)「杉浦。お前が協力してくれるというのならば、その条件飲もう。
     お前の持つ情報を話して欲しい」



【 ξ゚⊿゚)ξ 】 三年教室階廊下


ξ;⊿;)ξ「ふぇっ」


誰も居ない廊下で私は泣いた。
惨めな思いでいっぱいで、涙は次から次へとあふれてくる。
しくしくなんて乙女っぽいものじゃなくて、鼻がでそうなくらいみっともない泣きかた。


ξ;⊿;)ξ「もうやだ……もうヤダよ……」


もうどうでもいい。下着を見られたことも、恥ずかしいっていう気持ちも。
周りに悪く見られたくないっていう意地もどうでもいい。


ξ;⊿;)ξ「何で嫌いなんて言っちゃうの」


大嫌いって言った。
一回だけじゃなくて何度も何度も。
私はアイツへの思いだけは譲れなかったのに、自分で自分を裏切った。


ξ;⊿;)ξ「大好きなの   」


鞄に入れたチョコの重さが、とても悲しかった。



【 ('A`) 】 渡り廊下


ζ(゚益゚#ζ ミセ#゚益゚)リ (゚益゚#トソン「死にやがれ!!!」

(*'A`)「ああん、デレ様ぁぁぁぁぁっっ!!!」


デレたんがひらひら純白おぱんつに俺の理性は崩壊寸前☆
もう正直、バレンタインとかどうでもいい!
学園のアイドルに足で頭をグリグリとされた男なんて俺がはじめてだろ!


('、`*川「まさかのドMキャラ。構想中の話に路線変更があばばばば」

(#'A`)「黙れ!微妙乳女!!!」


……はっ。俺は何をしていたんだ。
デレたんのおぱんつの前に完全に正気を失っていた。

俺はなおも蹴られ続ける体を庇いながら携帯へと手を伸ばす。
俺には内藤やショボンやクラスの同士達といった背負う者がある。
今、ここでスイーツ(笑)たちの誘惑に屈する訳には行かない!


('A`)「礼を言うぜ、部長!」


俺は携帯を取り出してデジカメモードにする。


(#'A`)「うぉぉぉぉぉおおおおおお!!!」

ζ(゚、゚;ζ「な、何?」


行け俺の携帯っ!目指すはデレたんのおぱんつ!!!
俺は廊下に転がり、スカート下のベストアングルを目指す。
俺の永遠のスタンダードにして、この誘惑の死地を乗り越えるための究極の切り札っ!


(#'A`)「白ぱんGETだぜっ!!」


俺の指が撮影ボタンを押そうとした、丁度その瞬間。
なんだか卑猥な震動と共に、ショボンからのメールが受信された。


く('A`ll)く「NOぉぉぉぉぉっ!!!俺のおぱんつがぁぁぁぁっっっ!!!」


畜生ショボン死ね!十回死ね!
メールボックス画面に自動切り替えとか、白い犬のお父さんマジ自重しろ!


ζ( 、  ζミセ ー )リ(゚、゚トソン


ああ、学園のアイドルとそのお友達の冷ややかな目が何かをやらかしそうで本気で怖い。
できるなら、法律の範囲内でエロイ感じに虐めていただきたいっ!


く('A`ll)く「うぉぉぉぉぉおおおお!!!」


こうなったら全裸になりつつ強行突破しかないのか?!
自分に残された最終手段を俺が考察しはじめた時だった。


ラーララララララーラーララララララー


辺りに響く携帯の着信音(推定)。携帯の音くらいマナーにしとけよ常考。
こんなことをするのはどうせ、部長。てめえだろ?


('、`;川「私じゃないって」


そういいながら部長は、おそらく音のした方を指さす。
あれ、部長じゃないのか。珍しいこともあるもんだ。


ζ(゚ー゚;ζ「……あ」

ミセ;゚ー゚)リ「ええっ?」


デレたんとそのお友達の一人が間の抜けた声をあげた。
俺もつられて部長の指さした方向を見る。


(;゚A゚)「……」


渡り廊下の先から現われた人影。
それは、


( ・∀・)


俺たちが(死刑的な意味で)追いかけ回してきたイケメン四天王。
そのうちの最後の標的にして、学内一のモテ男子、最強のイケメン。


浦良モララー


サラサラの金髪。一見、無表情にも見える端正な顔。
甘い声に、優秀な頭脳、おまけに家は金持ちというパーフェクトイケメン(死ね)。


携帯を手にした浦良モララーがそこにいた。





以下おまけのターン

ミ,,*゚Д゚彡フサギコによるおまけ解説コーナーだからっ!


ミ,,゚Д゚彡「いや~、ここではこの話のキャラのどこがヤンデレなんだよって人のために解説しちゃうから!」

(  ゚¥゚)「では、その定義は?」

ミ,,*゚Д゚彡「フィーリングでおk」

( ;゚¥゚)「解説してください、フサ先輩」

ミ,,゚Д゚彡「だって、ぶっちゃけおにゃのこたちがいつデレてたかなんてシャキンにしかわからねーっす!
      オレ、シャキンみたいなイケメンじゃねーっすし」


( ;゚¥゚)「大体ヤンデレって、

      普段は優等生的なキャラクターに見えるが、主人公に惚れており(デレ)、
      ストーリーの進行に従って明らかになる何らかの事情により、
      精神的に病ん(ヤン)でしまう女性、もしくはその状態を指す。
      具体的には、主人公や対抗するヒロインに対して物理的行動を起こすなどが挙げられる。
      キャラクターの持つ背景設定が感情的な行動として強く表現され、
      そこが魅力となる。(はてなダイアリーより抜粋)

      って、ものでしょう?みんな一緒にしちゃダメですよ」


ミ,,゚Д゚彡「すげー、一年坊主!無駄に詳しいから!」

( ;゚¥゚)「部長からさんざん叩き込まれましたから。
      自己愛から生じる狂気のメンヘラと、相手への純粋な愛に端を発するヤンデレ。
      俗に言うキチガイが恋するキチデレと、ヤンデレの間違った定義ヤンキーデレには違いがっ!」

ミ,,*゚Д゚彡「で、今フサ達の目の前でバトルしているおにゃのこたちの病み属性は何っすか?」

( ;゚¥゚)「えーと、ハインリッヒさんがヤンキーデレ。これは確定です。
      黒髪の方がえーと、新ジャンル「ホラー」とか「貞子」とかどうでしょう?
      お小さい方はよくわかりません。えーと、多分どこかにデレがあったんですよ!
      きっと、どこかにエロゲも真っ青な恋愛イベントとか散る言葉イベントがっ!」

ミ,,#゚Д゚彡「ブーブー!自分だってわかってないじゃないっすか!」

( ;゚¥゚)「無茶言わないで下さい。だって、初対面なんですよ!
      眉下くんのクラスの委員長ぐらいわかりやすい属性じゃないと無理ですよ!」

ミ,,゚Д゚彡「逃げるなっす、ケチー」

( ;-¥-)「……ケチはケチでいいのですが」

ミ,,゚Д゚彡「?」

( ;゚¥゚)「私たち生きて帰れますかね?」

ミ,,;゚Д゚彡「……」


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