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o川*゚ー゚)oパパと魔法と不思議な本のようです 中編




            このおはなしは閲覧注意となっております、ご注意を



           o川*゚ー゚)oパパと魔法と不思議な本のようです

                      中編




从;'ー'从「あわわわー、な、なんでこんなに虫だらけなのぉー」

o川*゚ワ゚)o「わたなべさんだー!」


朝、何時も通りにアルバイトにやってきた渡辺さんに女の子は喜びました。
今日もおしゃべりしたいなーと、ワクワクとした気持ちでいっぱいです。


从'ー'从「昨日は、ごめんねぇー。
      やめるにしても、やめないにしても伊藤さんに謝らないとって……」

('、` 川「……」

从;'ー'从「いいいいい、伊藤さぁーんっ
      い、いつからここにいたんですかぁーっ?
      あわあわわわわわ、きっ昨日はす、すみませんでしたっ!」

('、` 川「……」

从;'ー'从「伊藤さん?」

o川*゚ー゚)o「いとーさん?」


伊藤さんは今日も元気がありません。
渡辺さんの言葉にも何も答えないし、ボンヤリと天井を見てため息をついています。
変な伊藤さんです。最近ずっと聞こえる足音で、眠れなかったのでしょうか?


('、` 川「買い物に行かないと」


ジジジと、虫さんの飛ぶ音が聞こえます。
虫さんの声に誘われたように、伊藤さんは玄関の方を見ました。


从;'ー'从「え、え、買い物なら私がー」

o川;゚д゚)o「ダメー、あそぶのー!!!」


女の子は、渡辺さんのエプロンにしがみつきました。
それから首をいやいやと横にふりました。
おそうじならお話が出来るけど、お買い物だと渡辺さんとお話をすることもできません。

女の子が渡辺さんにしがみついている間に、伊藤さんは玄関へと歩いていきます。
その後を、渡辺さんが追いかけて、女の子も続きます。


从;'д'从「待ってー、伊藤さーんー」


広い玄関ホール。
クリーム色に塗られた壁と、きれいに掃除がされた広い靴脱ぎ場、古いけどがっしりとした木製の靴箱。
その上に置かれた電話が、ジリンと音を立てました。

だけど、どれだけ電話が鳴っても、伊藤さんは電話に出ようとしません。
スリッパを脱ぎ、自分の靴を取り出そうとしています。


从;'ー'从】「はいっー、えーとーあーとー葉院のー別邸のーお手伝いのー
       というか、アルバイトでー、え?え?
       デレ?はい?えーと、え?もういい?」

o川*゚ー゚)o「それでたいー、でたいー!わたなべさんかしてー!」


渡辺さんは慌てて電話にでるけれど、何だか困っているみたいです。
女の子の方は、電話に興味津々です。大きな声で、貸して貸してと言いました。
伊藤さんはだまって、靴をはいています。渡辺さんにも電話にも興味がないみたいです。


从;'ー'从】「直接言う? え? ちょっとー、待って欲しいよぉー」


渡辺さんの声の邪魔をするように、チャイムが鳴りました。
ピンポーンと音が鳴ります。
チャイムの音がなる扉を、靴をはき終わった伊藤さんが開けました。


从;' 。'从】「ほぇ?」


伊藤さんが開けた、ドアの先。
そこには金色の髪をくるくると巻いた、とてもきれいな女の人がたっていました。
携帯電話を持った女の人は、にっこりと笑いました。



【ζ(゚ー゚*ζ「えへへ、来ちゃいました」



o川*゚ワ゚)o「あー!!」

('、`;川「デ、デレ様?!」


扉の向こうの女の人に向けて、女の子はとっても嬉しそうに声をあげました。
ぼんやりとしていた伊藤さんも、びっくりとして女の人を見ました。


从;'ー'从】「え?え?」

【ζ(゚ー゚*ζ「こんにちはー、ア ル バ イ ト さん♪」


渡辺さんだけが、わけがわからないという顔をしています。
女の人はフフフと笑うと、携帯電話をポケットへしまいました。


ζ(゚ー゚*ζ「ひさしぶり。元気にしてた?」

o川*゚ー゚)o「ママ!」


嬉しくて、女の子は女の人に抱きつこうとしました。。
だけど、女の人は腕を動かして、女の子のことを邪魔をしました。
ママに抱きつけなくて、女の子はちょっとだけ機嫌が悪くなりました。


ζ(゚、゚#ζ「……私はあなたのママなんかじゃないんだけど」

o川*゚ 。゚)o「ちがうの?」


女の子は首をかしげました。
女の子の知っている、女の人は伊藤さんと渡辺さんと、この女の人だけです。
伊藤さんは働いている人なのだとパパは言いました。
渡辺さんは、伊藤さんの子分なのだとパパは言いました。


ζ(゚、゚*ζ「悪いけど、ママって呼ばれて喜ぶ趣味はないの。どっかの誰かさんたちみたいにね。
       私のことはデレさんか、お姉さんって呼ぶのよ」

o川*゚ワ゚)o「デレおねーさん!」


なんだ、おねーさんだったのか。女の子はとっても嬉しくなりました。
女の子にはお姉さんがいるものなのです。


ζ(^ー^*ζ「あなたは素直ね」

o川*゚ー゚)o「スナオ!」

从;'ー'从】「え?えー?えーーっと?」


女の子はデレお姉さんににっこりとわらいました。
女の子はスナオです。


('ー`*川「まあ、デレ様。相変わらずお綺麗で。
      本日はご滞在ですか?他の方々はどうしたのですか?」

ζ(^ー^*ζ「伊藤さんも、こんにちはー。
       今日から三日ほどお世話になるんで、よろしく
       他の奴らは仕事が終わってからの合流なんで、夜遅くですねー。」

('、`*川「それは残念ですわ。夜遅くということは、夕飯は?」


伊藤さんははりきって、デレお姉さんとお話ししています。
だから、女の子はデレお姉さんとお話しすることが出来なくなってしまいました。
つまらないなぁと女の子が思っていると、廊下から足音が聞こえてきました。


从 ゚∀从「――なんで来た」


歩いてきたのは、パパでした。
パパはボサボサのままの髪の毛をバリバリとかきながら、デレお姉さんをにらみつけました。


ζ(゚、゚*ζ「久しぶりって言うのに、失礼なやつ。
       満月の日に決行って決めたのは、誰だったかしらね?」

从#゚∀从「満月まで、まだあるじゃねーか。
      何で来た。こっちはそれどころじゃないのに!」

ζ(゚ー゚#ζ「まだって、明日じゃない!
       信じられない。こっちだって予定あけて、わざわざ付き合ってあげてるのに」

从 ∀从「ああっ……うるせぇ!黙れっ!だまれぇっ!」


('、`;川「あの……旦那様?デレ様?」


パパとデレお姉さんはよくわからない話をしています。
せっかく伊藤さんが静かになったのに、これではデレお姉さんとお話しすることが出来ません。
パパもなんだかとっても怖いし、デレお姉さんも怒っています。


从;'ー'从「えーっとぉー。
      何か大変みたいだしー、二人でお話してよーかー?」

o川*゚ワ゚)o「うんっ!」


女の子は渡辺さんと手をつないで、リビングへと戻りました。
でも、リビングは虫さんがいっぱいいます。
渡辺さんはあわわ~と声をあげながら、窓を開けて、虫さんたちを追い払いました。


从'ー'从「怒ってる時はすっごく怖かったけどー、
      デレ様って綺麗だったねぇー。天使様みたいー」

o川*゚ー゚)o「てんしさま?」


女の子は聞いたことのない言葉に、首を横にかしげました。
天使様って何でしょう?それって、どういうものなのでしょう?


从*'ー'从「そう、背中に羽根が生えてる人でねー、すっごく綺麗なんだよー。
      私もー、見たことはないんだけどねー」

o川*゚ワ゚)o「みたいみたい!テンシさまみたい!」


女の子は天使様が見たくて見たくて、たまらなくなりました。
すごくすごく綺麗なデレお姉さんよりも綺麗な天使様は、どれだけ綺麗なんだろう。
そう、思うだけで胸がドキドキしました。


o川*゚ー゚)o「ねぇ、テンシさまって……」

('、`#川「何さぼってるの!
     こっちはこれから旦那様とデレ様の料理の支度で手一杯だっていうのに」

从;'ー'从「は、はいぃー、手伝いますぅー」


女の子が、渡辺さんにもっと天使様の話を聞こうとしたとき、
玄関から大きな足音を立てて帰ってきた伊藤さんが怒鳴りました。
どうやら、パパたちに追い出されてしまったみたいです。


从;'ー'从「えーとえーと、お料理の材料を切ればいいですかー?」

('、`#川「何度言ったら分かるの?
     料理は私の担当。旦那様に私が任されたのよ。
     旦那様の料理は、料理だけは私が……」

从;'ー'从「はわわわー、じゃあー私はー」

('、`#川「アンタは掃除!旦那様にこんな汚い部屋で食事をさせる気?!」


伊藤さんはすっかり元気です。
元気すぎて、渡辺さんと遊べなくなってしまい女の子はつまらなくなってしまいました。


ζ(゚、゚#ζ「はぁっ?!無くした?!
       ちょっとどうすんのよ、明日よ!今更出来ませんってわけにはいかないのよ!
       あの子はどうするのよ!私はゴメンだからね、アンタ責任持ちなさいよ」

从#゚∀从「そんなのわかってるよ!だから、俺は嫌だったんだ!」

ζ(゚、゚#ζ「誰よりも乗り気だったのは、貴方たちじゃない!
      どうなっても知らないわよ!」


パパとデレお姉さんは、まだケンカをしています。
渡辺さんは一生懸命お掃除をしているし、伊藤さんもお料理中。
遊んでくれる人がいなくなって、女の子は退屈です。
また、ネズミさんや虫さんたちが来ないかなぁ、女の子は思いました。




ζ(゚、゚*ζ「すごく時間かけてたわりには、何か残念ー」

('、`;川「……申し訳御座いません」


夜になりました。
渡辺さんが頑張ってピッカピカにしたお部屋のテーブルには、具のない焼きそばが並べられています。
なぜ焼きそばなのかと言うと、伊藤さんが頑張って作った料理が今日も腐ってしまったからです。


从 ∀从「今日も、か……」

o川*゚ー゚)o「おいしーよ、いとーさん」


伊藤さんはぎゅっと手を握ってテーブルの上の焼きそばを見ています。
女の子はデレお姉さんたちとは違って、焼きそばが大好きです。
だから、おいしいよと言ったのですが、伊藤さんは答えませんでした。


o川;゚ぺ)o「むむー」

从 ゚-从「……伊藤さん。あんたに話がある」


女の子はもう一回、伊藤さんに話しかけようとしました。
だけど、パパが声を出したので黙ることにしました。
今日のパパの顔は怒ってないけど、なんだかちょびっとだけ怖いなぁ、と女の子は思います。


从 ゚∀从「今日からしばらくの間、居間には近づかないでくれ。
      むしろ、部屋に籠もっててくれ。仕事は何もしなくていい。
      あと、渡辺さんはしばらく呼ばないでくれ」


パパの言葉はよくわからないところがあって、女の子には意味が分かりません。
だけど、伊藤さんがビックリした表情になったので、何だかすごいんだなぁと思いました。


('、`;川「……あの、お食事は?」

从 ゚∀从「カップ麺とかでいいよ。どうせ用意させても腐るし」

( 、 ;川「――っ!」

从 -∀从「どうせ食えないなら、はじめからレトルト用意しとくほうがよっぽどましだ。
      どうせなら出て行ってほしいくらいだけど、まあそれはいいや」

ζ(゚ー゚*ζ「休暇だと思って、のんびりすごしてくださいよ」


伊藤さんの顔を見ていると、やっぱりパパは偉いんだなぁと思います。
あんなに怖い伊藤さんが、パパの前だとしょんぼりです。
そんなパパに怒ったりできるデレお姉さんも、なんだかすごく偉い人みたいです。


('、`;川「旦那様、お待ち下さい。私は……」

从 ゚∀从「話はそれだけだから」


リビングは、シンと静かになりました。
とても楽しそうなテレビの賑やかな音だけが聞こえてきます。


( 、 ;川「――っ」


怒ったり、困ったり、伊藤さんはいろいろな顔になりました。
口を開いたり閉じたりして、パパを見たり見なかったりします。
女の子は面白いなぁと思って、伊藤さんの顔を見ていました。


('、` 川「……渡辺に伝えておきます。
     最近はやめたいとも言っておりましたので、丁度よかったかと」

从 ゚∀从「おう、頼む」

( 、 川「……」


ご飯を食べてゆっくりした後は、パパとデレお姉さんがお部屋まで送ってくれました。
いつもは、伊藤さんがお部屋に送ってくれるのに、とっても珍しいです。
今日はなんだか、いつもと違うことがいっぱいです。


o川*゚ー゚)o「おやすみなさーい」


女の子は自分の部屋のドアを開けて、元気に言いました。




从 ∀从「いい子だから部屋でまってるんだぞ。
      ――絶対、逃げようだなんて思うな」



ζ( ー *ζ「もうちょっとで終わるから待っててね。
       フフッ、あなたのこと、結構好きだったよ」




ガチャンと鍵が掛けられると、女の子が一人で過ごす時間が始まります。
女の子はもっさりさんのぬいぐるみを抱えて、スケッチブックにお絵かきを始めました。
紙を真っ黒に塗るのにも飽たので、今日は真っ赤に色を塗ることにします。


川*゚ー゚)「今日は、いっぱいあったなー」


女の子は、一番大好きな赤いクレヨンを手に取りました。
赤い色はとっても、とってもキレイです。だから、女の子は一番赤いクレヨンが大好きです。


o川*゚ワ゚)o「スナオだってー」


たくさんの虫さんたち、お話ししてくれる渡辺さん、とっても綺麗なデレお姉さん。
スナオだって、デレお姉さんは言いました。そのデレお姉さんみたいに綺麗なテンシ様。


o川*゚ー゚)o「スナオ、スナオ、スナオー」


パパとケンカしたデレお姉さん。
だけど、さっきは仲良しだったパパとデレお姉さん。
女の子はデレお姉さんともっと仲良くなりたいなぁ、と思いました。

色塗りをした後は、魔法の本を開いて読みました。
たくさんのネズミさんの絵を見ているうちに、女の子は寝てしまいました。




コツ、コツという足音。それから、ガリ、ガリという音で女の子は目が覚めました。
音は小さいのに、すごくすごくうるさくて、女の子はびっくりしました。
その音を女の子はどこかで聞いたことがありました。だけど、どこで聞いたか思い出せません。

それは、そうです。だって、女の子はこの音が聞こえる間ずっと寝ていたのですから。


川#゚ー゚)o「うるさいー」


ごろんごろんと寝返りをうってみたり、頭から布団をかぶっても音は消えません。
その音がうるさくて、うるさくて、女の子はドアに向って文句を言うことにしました。
ベットの上からおりて、ドアへ向いました。

それから、大きく息を吸って声を上げようとした時です。


「――――――――――無くなった。
 ―――――――、――――――――――――だ」


ドアの向こうから、パパの声がしました。


「ふざけるなっ!!お前はあの本が何だかわかってるのか?
 あの本は人類の宝だ。それなのにお前はあの本の価値がわからないとは」

「価値ならわかってるよ!俺があのボロ本にいくらかけたと思ってるんだ。
 写本の写本のくせにぼったくりやがって、畜生」

「いい加減にしてよ、どうするの。私は別に中止してもかまわないのよ」

「ざけんな、ここまで来て止まれるかよ」

「俺たちはもうやるしかないんだ。そうだろ?そう決めたんだろ?」


パパが、パパが、パパが――話している声。デレお姉さんの声もしました。
パパの声はデレお姉さんと話しているときよりも、ずっと怖くて女の子は怖くなってきてしまいました。


「――は?」

「部屋に……時間までは閉じこめて……」


パパたちの声はずっと続いています。
だけど、パパたちの声はだんだん小さくなって、何を言っているのか全然聞こえません。
はじめは怖かった女の子も、だんだんつまらなくなってきてしまいました。


「プギャーは?」

「――――――――――――――」


女の子はベッドの上に戻りました。
ガリガリという音とコツコツという足音に混じって、パパたちの声が聞こえます。
その声を聞きながら、女の子はまた眠りました。




どれくらいの時間がだったのでしょうか。
笑い声がした気がして、女の子の目が覚めました。


o川 - ~-)o「むー」


いつもは伊藤さんが起こしに来てくれるのに、今日は伊藤さんは来てくれません。
いつのまにか、ガリガリという物音もコツコツという足音も止んでいました。
だけど、その変わりに唸るような声や笑い声が聞こえてきます。


声、声、声


意味の分からない音のつながり。
それは、ずっとずっと聞こえています。

歌のような声、どこからか聞こえる太鼓や楽器の音。
デレお姉さんの笑い声がしました。ずっと続いている不思議な声は、パパの声です。
パパは今、何をしているのでしょうか。
パパは、パパは……パパはデレお姉さんと、どんなたのしいことをしているのでしょう。


「……っぷ…………しゅ…………るふ…………ん」


お部屋の鍵は中からは開きません。だから、パパのところへいくこともできません。
部屋の外から声だけがずっと、聞こえています。


o川*゚ー゚)o「パパがねー、さいきんコワイかおしてるんだよー」


女の子はベットにごろんと横になって、大切な本に向って話しかけました。
お腹はぐうぐう鳴っているのに、デレお姉さんもパパも伊藤さんもまだ起こしに来てくれません。

もっさりさんのぬいぐるみだけが、ニコニコと笑っています。
だけど、もっさりさんも魔法の本もお話をしてくれません。


o川 ゚ -゚)o「……つまらないなー」


色塗りは昨日の夜、たくさんやりました。
絵本と魔法の本はとってもたのしいけど、今はそんな気分じゃありません。

お腹がぐうぐうと鳴ります。
早く伊藤さんの朝ご飯が食べたいなぁ。そう思いながら、女の子はもっさりさんを抱きしめます。
パパがくれたぬいぐるみはは、テレビで見たわたあめみたいにとっても柔らかいです。


川*゚ -゚)⊃ミ   彡「……」


お腹がすいた女の子は、ぬいぐるみを口に入れました。
白くてフワフワとしたぬいぐるみは、見た目通りに甘いわたあめみたいな味でした。
女の子はわたあめを食べたことがありませんでしたが、その甘さに幸せな気持ちになりました。

早くドアを開けてくれないかな、女の子はそう思いました。





――ガチャリと鍵を開ける音がして、部屋のドアが開きました。
扉の向こうにはパパでも伊藤さんでもなくて、デレお姉さんの綺麗な姿がありました。


o川*゚ー゚)o「デレお姉さんだー!」

ζ(゚ー゚*ζ「おはよう」


そして、ドアの向こうはいつものお家じゃありませんでした。


o川;゚ー゚)o「ここどこ?」

ζ(゚ー゚*ζ「あなたのお家よ」


白い壁は暗い赤色になっていて、ところどころ青や赤い管が通っています。
壁はどくりどくりと動いていて、触ると生暖かくてぬちゃりとしています。
廊下からは酸っぱくて辛くて腐ってて甘い、ものすごく気持ち悪い臭いがしています。
その臭いは、前に水道から出てきた黄色い変な物にそっくりでした。


ζ(゚ー゚*ζ「さあ、いきましょう」


お家はこんなに変わってしまっているのに、デレお姉さんにはいつもと同じに見えているみたいです。
変なの。女の子は、そう思いました。
だけど、デレお姉さんが手をさしだしてくれるのが嬉しくて、女の子はドアの外に出ました。


デレお姉さんが軽やかに歩く廊下は、歩くたびにぐちゃりと透明な糸を引きました。
デレお姉さんの歩いた後は黒く腐り落ちて、足跡がキレイに残っています。
ちょろちょろと走るネズミさんは、とっても大きなクモでした。
電気の変わりに壁はぼんやりと光り、辺りを少しだけ照らしています。

ドアの向こう側は、別の世界へとつながったかのように何から何まで変わっていました。
まるで、魔法でも使ったみたいです。


o川*゚д゚)o「どこいくのー?」

ζ(゚ー゚*ζ「とってもいいところよ。川が流れていてね、お花畑があるところ。
       ちょっとくるしいかもしれないけど、すぐに着くから」


何て不思議な世界なんでしょう。
魔法のような世界の中を、デレお姉さんは夢をみるようなボンヤリとした瞳で歩いていきます。


o川*゚ー゚)o「テンシさまはいる?」

ζ(゚、゚*ζ「……天使?」

ζ(^ー^*ζ「ええ、いるわ」

o川*゚ワ゚)o「わーいっ!」


ドロドロになった廊下を通りぬけて、二人はいつもならリビングのある場所にたどりつきました。




リビングの中は、廊下みたいにへんてこではありませんでした。
だけど、いつも使っているイスもテーブルもソファーも片付けられていてていました。
リビングにある大きな窓の向こうは真っ暗で、たくさんのお星様と緑色に光る、赤い月が浮かんでいます。

電気はついていなくて、かわりにたくさんのロウソクに火がついていました。
床にはベタベタする何かで、たくさん落書きと変な文字が書かれているようです。
白いノートのページがばらまかれ、女の子がはじめてみる楽器が置かれていました。


从 ∀从「……」

o川*゚ワ゚)o「パパー!」


そして、ロウソクの前にパパが立っていました。
真っ黒い服を着たパパの手には、いつか女の子が見たナイフがキラキラと光っています。
女の子はパパの顔を見ると、急いでパパのそばまで走りました。


o川*゚ー゚)o「ねーねー、パパー。おはよー!おなかすいたー」


パパの目は、デレお姉さんと同じぼんやりとした目をしていました。
ぼんやりとした目は、女の子を見ると急に鋭くなりました。
それは怒っているときのパパの目でした。
だけど、それに女の子は気づきませんでした。

女の子のお腹はとても空いていてぐうぐう鳴っていたからです。
綺麗な川やお花やテンシ様よりも、今の女の子にはパパと食べるご飯の方が大事でした。


o川*゚ 。゚)o「パパー、ごはんはー?」

从 ゚∀从「……ねえよ」


いつもよりも、低い声でパパは言いました。
パパの目はギラギラしてて、目の下は真っ黒で、固まった表情をしているのに、女の子は気づきません。


o川*;ー;)o「……ごはん」


どうして、パパはそんなイジワルを言うのでしょう?
女の子はずっと部屋でお腹を空かせて待っていたのに、何でご飯が無いなんて言うのでしょうか。
女の子はお腹が空きすぎて、とうとう泣き出してしまいました。


o川*;ー;)o「おなかすいた!おなかすいだぁ゙ぁ゙!!!
        ごはんたべるごはんごはんごはん!」

从#゚∀从「黙れクソガキ!ぶっ殺されてぇのかっ!!!」

o川*;д;)o「ごはんぅぅぅぁぁ!!ごばん゙ぅ゙ぅ゙ぅ゙!!!」


女の子の泣き声に、パパは怒鳴り声を上げました。
女の子はどうしてもご飯が食べたくて、もっと大きな声で鳴き声を上げます。
誰かがそれを見て声を上げましたが、女の子は泣くことに夢中で気がつきませんでした。


从# ∀从「あ゙ぁっ!うっせぇ!これだからガキは!
      そんなに食いたいならこれでも食ってろっ!!!」


そして、パパの手が高くあがって、そのパパの手にはキラキラと光る何かがあって、
それがパパが持ってたナイフだと、女の子が理解できた時には、
そのナイフはパパの手から振り下ろされて、それから、それから、


( ; ゚∀゚ )「バカッ……逃げろっ!!!」



――パパの声がしました。



久しぶりに見たパパの姿。
絵本と、ぬいぐるみと、スケッチブックをくれたパパの声。
あの魔法の本が大好きで、眼鏡がとてもに合う、パパ。
難しいことをいっぱい話してくれる、パパ。

 _
(;゚∀゚)「やめろっ、ハイン!」

从# ∀从「あぁあああああああああああああ!!!」


もう一人の、パパの声がしました。
とっても大きくて、太い眉毛が面白いパパ。



( ; ∀ )「――この馬鹿っ!!!」


ドンっと、女の子の体が押されました。
床に転んでしまって、ぶつけた足がすごく痛くって、女の子は顔をあげました。


o川;゚-゚)o「――パパ?」

( ;゚∀゚)「ガ、ハ……ッ」


パパの持っていたナイフが、パパに刺さっていました。
パパの体からは赤い水がいっぱい流れて、パパを刺したパパの手も真っ赤になっていて、
そして、そんなパパたちの姿をパパが見ていました。


川 ゚ -゚)「パパ?」


パパの体がどさりと、床に倒れました。
パパは、倒れたパパからナイフを抜くと、パパの体に何度も何度も何度もナイフを突き立てます。


(  ∀ )「……ぅ」


キラキラとしていたナイフは、赤くなってもう光ってはいません。
ナイフが刺さるたびに、パパの体はびくんびくんと大きく動きます。


从 ゚∀从「俺は悪くない俺は……俺のせいじゃない……俺は俺は……」
 _
(;゚∀゚)「オイ、やめろっ!やめろっ!」


パパがナイフを刺す度に、パパの体からは真っ赤な水が出ます。
黒っぽい水と、赤い水が廊下にたまり、女の子の足をべちゃりと濡らします。
こんなにもキレイな赤なのに、どうしてパパたちはあわてているのだろう?
女の子は不思議に思いました。


o川*゚-゚)o「どうしたの、パパ?」

(  ∀ )「……」


だけど、パパは動かなくなって。
ガシャンと床に落ちた眼鏡も拾わなくなって。
難しいお話も、絵本も読んでくれなくなって、女の子は少し寂しくなりました。


o川;゚ー゚)o「デレおねーさん、パパうごかないよ」

ζ(゚ー゚*ζ「――?」


女の子はどうすればいいのか分からなくて、デレお姉さんの顔を見ました。
デレお姉さんは、ボンヤリとした目で小さく首をかしげました。

 _
(;゚∀゚)「おい、デレっ! ハイン押さえるのを手伝え!」

ζ(゚ー゚*ζ「どうしたの? ハインが何かしたの?
       あ、どうせ、また酔っ払って暴れたんでしょ」


眉毛のパパの言葉にも、デレお姉さんはぼんやりとした目で答えました。
女の子の言葉も、パパの言葉もデレお姉さんには届いていないみたいでした。


o川;゚ー゚)o「うぅー」


パパが動かないし、デレお姉さんは変で、パパはすごく怖くって、
だけど、お腹がぐうぐう空いていて、女の子は困ってしまいました。


ζ(゚ー゚*ζ「もー、まったく困るなー。
       アヒャくんはどうしたの?大切な儀式の最中なんじゃないの?」

从# ∀从「はなせぇっ!!ぶち壊してやるっ!!全部、全部っ!!!
       上手くいくはずなんかなかったんだ、畜生畜生畜生畜生!
       足音は止まらない音がする、音が、音が音がっ
       食い物はいつまで腐りゃぁいいんだ、畜生。ネズミも虫もお前等も全部出てけ!」
 _
(#゚∀゚)「……おいっ!」

从 ∀从「がりがりがりがりうっせえよ!!何だよ、俺が何をしたって言うんだ!
      何がもう進むしかないだ。全部ぶっ壊しちまえばそうだそうだ!!
      俺は悪くない俺は悪くないお前らが悪いんだお前らが全部全部悪いんだ!
      そうだ、俺は被害者なんだ俺は悪くない俺は俺はそうだよお前らが悪いんだよ!」


眉毛のパパを振り払って、パパは声を上げました。
血走った目で天井を見て、動かなくなったパパを見て、最後に女の子の顔を見ました。


从#゚∀从「こんなガキ買って育てて、ぶっ殺して、召喚の儀式?くっだらねぇ!
      上手くいくはずなんてそもそもなかったんだよ!お前らアホじゃねーか?
      お前らが悪いんだ。こうなったのも全部全部、お前ら――」


パパの言葉がぶつりと途切れました。
女の子の顔を見ながら信じられないほど大きく目を開けて、それから振り向こうとしました。
パパの目から、ぽろりと涙がこぼれたのを女の子は見ました。


  _
(  ∀ )「悪いのはお前だ」



パパの胸から黒い塊が生えていました。
パパの真っ黒い服から飛び出したその黒い塊は少しずつひっこんでいき、そこから赤い水が吹き出ました。
パパは自分の胸を押さえて、自分の後ろに立つ眉毛のパパの顔を見ました。


从;; ∀从「ァガッ ゥガ ア」


眉毛のパパの手には、ナイフが握られていました。
パパの持っているのとは違う真っ黒いナイフ。
それは、さっきパパの胸から生えていた塊でした。

  _
(  ∀ )「ようやくだったのに、全てをぶちこわしやがって
     この儀式のためにどれだけの金と年月を費やしたと思ってるんだ」

从;; ∀从「ゲフッ ガッ グエ」


眉毛のパパが手にしたナイフをパパに突き刺すたびに、パパが声を上げます。
パパに、眉毛のパパはとっても怒っているみたいでした。
パパはまるで楽器みたいにいろいろな声を上げます。カエルさんやネズミさんや虫さんの声みたいです。

  _
(  ∀ )「ようやくみつけた、封じられ忘れられ気づかれることのない神の姿。
     その御姿を威光を僥倖を栄光をその目に焼き付けることができたというのに
     あの本だって、嬢ちゃんだって、このナイフだって、この日のために用意してきたのに」


眉毛のパパの言うことは難しくて女の子には分かりません。
でも、眉毛パパはとっても真剣なので、女の子は黙ってみていることにしました。
声をあげているパパよりも、眉毛のパパのほうが女の子は大好きだったからです。
頭を撫でてくれたり、遊んだり、おかしやご飯をお土産をくれるパパのほうが大好きなのは当たり前です。


o川 ゚ー゚)o「パパをいじめるからいけないんだよ」


女の子はぽつりと呟きました。
悪いことをした子は、怒られなきゃだめです。伊藤さんが昔、そう言っていました。
だから、絵本をくれたパパをいじめたパパは、いっぱい怒られなきゃだめなのです。

  _
( ゚∀゚)「お前は選ばれなかったんだ」

从 ∀从「……」


パパは体をがくがくさせて、何も言わなくなっていました。
だけど、眉毛のパパはナイフをぐさりぐさりと刺し続けています。
パパの服は破れてぐちゃぐちゃで、パパの体もナイフでぐちゃぐちゃでした。
お片付けが大変そうだなぁ、と女の子は思いました。

  _
(  ∀ )「俺は違う。ガキなんかに情を移さない。
     俺は違う。愚かなハインとも、アヒャとも、プギャーとも違う」


眉毛のパパは、ずっとナイフでパパの体をぐさぐさにしています。
眉毛のパパは怒るのに夢中で、ご飯のことは考えていないみたいです。

女の子のお腹は、ぐぅっと鳴りました。
そうです、女の子はずっとお腹が空いていたのでした。


o川*゚ー゚)o「デレおねーさん、ごはんは?」

ζ(゚ー゚*ζ「――ハイン?」


絵本をくれたパパは動かないし、伊藤さんもいないので、女の子はデレお姉さんの手をひっぱりました。
だけど、デレお姉さんはぼんやりとパパたちの姿を見ていて、女の子にこたえてくれません。
つかんだデレお姉さんの手は、汗でぬるぬるしていました。


ζ(゚ー゚;ζ「何で? どうなってるの?
       ハインも、アヒャくんも……し、死んじゃったの」

川*゚ー゚)o「ししんじゃった?」


デレお姉さんはパパたちを見て、窓の外を見て、怯えたような目をしました。
ずっとそうだったことに、デレお姉さんははじめて気がついたみたいでした。


ザ……


その時、音がしてテレビがつきました。
白黒の画面が流れて、たくさんの色の粒が流れて、テレビの番組が映ります。
テレビの画面の中では、黒い服に黒い肌の外国人の女の人がニュースを読み上げています。


ζ(゚、゚;ζ「――え」


lw´‐ _‐ノv「―――市の住宅で一人暮らしの男性が死亡しているのが発見されました。
      死亡が確認された男性は、府木谷プギャーさん(30)
      死因は失血性のショック死だとみられます。
      府木谷さんの遺体は動物によって損傷を受けており、バラバラだと言うことです」


その名前に、デレお姉さんは聞き覚えがありました。
その名前の主をデレお姉さんは知っていました。


川*゚ぺ)o「むむむむー?」


テレビの映像は一棟のアパートを映しました。
その中の一つの部屋にテレビの映像はどんどんと近づいていきます。
府木谷という表札、新聞と郵便物が外まで飛び出したドア、脱ぎ散らかされた靴が転がる玄関。
その全てに、デレお姉さんは見覚えがありました。


ζ(゚、゚;ζ「何よ、これ」

lw´‐ _‐ノv「府木谷さんの遺体からは眼球が失われており、肉も食い荒らされた状況です。
       ――現場に映像がつながっています」


映像は家の中へと入っていきます。
あちらこちらに物が転がっていて、家の中はとても汚いです。
脱ぎ散らかされた靴下の上に、白い歯が二、三本転がっていました。
テレビとソファーには、真っ黒になった血で汚く汚れていました。


lw´‐ _‐ノv<彼らは優民倶楽部を名乗り、大学の友人や後輩たちと共に活動していました。
       優民倶楽部はより優れた世界と、自らの欲望そして、真実の探求のために
       ××××××様の××××××である×××××の××××××により、
       ×××××××××××となる×××××××、××××××
       ああなんと××××な×××××××>


ぐにゃりと、テレビの声が歪んで聞こえます。
画面の中では、白い骨が赤黒い塊の中からすらりと飛び出ていました。
元はもっと大きかったと思われる肉の塊は、残念ながら量が減ってしまったようです。
苦かったのでしょうか?赤とピンク色にてらてらと光る長い、長いソーセージの様な物体がやけに綺麗です。


ζ(;。; ζ「ぅえっ……げ……あっ……はっ!!」


デレお姉さんは、口から透明な物体を吐き出しました。
目からボロボロと涙を零し、口元を押さえ、テレビから目をそらします。
デレお姉さんの吐き出した酸っぱい臭いが、周りの臭いにまざりました。


川;゚ー゚)「きたないよー、デレおねーさん」


女の子はつないでいた手を放し、デレお姉さんのそばから離れました。
女の子は少し汚れてしまった手を、床に落ちているノートの切れ端で拭きます。
ノートの中では魔法の本に似た文字が、いっぱい書かれていました。
手をキレイにすると、女の子はもう一度テレビとデレお姉さんの姿を見ました。


lw´ _ ノv<×××××××××こそは偉大なる××××××××××××××
       ×××××××のためのイケニエを××××の少女を×××××××として、
       その両親は×××××として、その報酬に応じて××××とすることを決めた
       ××などない××のために×××として××××であることを強要した。
       そして、×××××××××××××××××××!!!!!
       ×××××××××××××××××××××××!×××××××!!>


テレビの向こう側からは、ほっぺたの肉のない顔がじっとデレお姉さんを見ています。
目のない瞳が、デレお姉さんを見ています。見ています。見ています。見ています。
テレビから聞こえる声は、何を言っているのかほとんど聞こえなくなっています。


    <郷基アヒャは×××から××××××の意志を受けた、葉院ハインリッヒによって、
     ××××××となり、××××××の祝福を受けた××××××の刃によって、
     ××××××様の贄となった。××××の体は×××××××××××××××
     ××××××××××××××××××。葉院ハインはその僥倖を理解することの
     ないまま××××××××××××××××と××××××××××××××××
     の如く、長岡ジョルジュの持つ××××が変じた×××××によって無意味の死をとげた。
     ×××××××!×××××××!×××××××!×××××××!!
     出礼ヶ崎デレは××××××となるだろう×××××××たる×××××××
     ×××××××こそは×××××××となり、×××××××となるだろう>

ζ(;、; ζ「止めてっ!!!」


歪んだ声は、デレお姉さんのよく知っている名前を告げました。
耳をふさいでも嫌と言うほどはっきりと聞こえるその声は、デレお姉さんの名前をよびました。

テレビの声はデレお姉さんの過去であり、未来であり、
テレビから流れる、その声は―――


ζ(;Д; ζ<あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙
         あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙
         あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙>


デレお姉さんの綺麗な、綺麗な叫び声でした。
耳を突き刺す、高い叫び声。耳を押さえても、デレお姉さんの声に届く声。


ζ(;ー;ζ「嫌、止めて!!!」
  _
( ゚∀゚)「――なぜだ?」


デレお姉さんに、応える声がありました。
全身が真っ赤になった眉毛のパパです。パパは手に黒いナイフを持ったままで、ニコリと笑いました。


ζ(;、;*ζ「ジョルくん……?」
 _
(*゚∀゚)「よろこべよ、デレ。俺たちは成功したんだ」


ほっぺたを赤くして、スーツを赤くして、パパは嬉しそうに笑います。
嬉しそうなパパを見るとなんだか嬉しくなって、女の子はちょっとだけ安心しました。

  _
( ゚∀゚)「××××××××様だ。
     ××××××××様が奇跡を起したんだ!」

川*゚д゚)o「きせき?それってすごい?ごはんよりすごいの?」
 _
(*゚∀゚)「奇跡だ! これは奇跡なんだ!
     すごいってもんじゃない。××××××××様だからこそできる御業。
     ××××の神殿の××××で××××を従え、終末を高らかに嘲笑する、
     ××××××××様! ××××××××様! ××××××××様!」


両手を広げて、眉毛のパパが笑いました。
パパが手にしたナイフから赤い水が垂れてきて、渡辺さんがいつも掃除してくれる床を汚しました。
デレお姉さんはナイフと赤い水を見て、びくりと振わせました。


ζ(゚ー゚;ζ「……何言ってるのよ。 ねぇ、頭おかしくなっちゃったの?
       どうなってるの? ねぇ、何が起こったっていうの!!!」

o川*゚ワ゚)o「あのねー、ごはんよりすごいんだよー」

ζ(;д;*ζ「わけわかんないっ!!!」


デレお姉さんは、すごく怖い目をして女の子を睨みました。
自分の顔に両手をあてて、自分の顔に爪を立てました。
デレお姉さんの両手の上を、つつっと涙が流れて行きました。


(  ゚∀゚)「アヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ!!!」


ひときわ大きな笑い声が、部屋に響きました。
眉毛のパパよりも、デレお姉さんの甲高い声よりも、テレビの中のデレお姉さんの悲鳴よりも、
ずっとずっと、大きな笑い声です。

 _
(#゚∀゚)「誰だっ!」

ζ(;、; ζ「もう、嫌っ!!」


眉毛のパパが、黒いナイフを構えて言いました。
デレお姉さんは目をぎゅっとつぶりながら、いやいやと何度も首を横にふりました。


o川*゚ワ゚)o「パパっ!」


――そして、女の子はその笑い声の主を見て、笑いました。
だって、そこにはパパが立っていたのです。
笑っていたのは、もう動かなくなってしまったはずの絵本をくれたパパでした。


(  ゚∀゚ )「愉快愉快、おもしれーじゃねーか
      退屈しのぎになりゃ、充分だと思ってたんだがな」

ζ(゚ー゚;ζ「――あ、アヒャ……くん……生きて」

ζ( ー ;ζ「っっ! な、なんでっ!
       なんで、アヒャくんが二人いるのっ!」


パパは真っ白な服で立っていました。
その胸はナイフで真っ赤になっていなくって、どこにも傷はありません。
そして、そのパパの片方の足の下には、真っ赤になったパパの頭がありました。
体中を真っ赤に染めて、もう動かない体に繋がっている、パパの首。


                  (  ゚∀゚ )   ( ∀  )


――その首と、笑っているパパの顔はまったく同じでした。


(  ゚∀゚ )「ん?ああ、この世には同じニンゲンは一人だけ理論?
      まぁ、それもシンプルでいいんじゃえねぇ?
      郷に入っては郷に従うとするかね。これでも、俺は親切なんだ」


ごきりと音がして、パパの足の下の首から真っ赤な液体が噴き上がりました。
肌色の皮の下から、赤い赤い肉と、割れてとがった骨と、ドロドロとした黄色や灰色の何かが出てきます。
そして、パパの首はただの変な物になりました。
頭のない体だけが横になっていて、パパなのにパパじゃなくてなんだかとっても変な感じです。


(  ゚∀゚ )「ほら、これで一人になった」



o川*゚ワ゚)o「すごいっ! まほーみたい!」

(  ゚∀゚)「……お?」


女の子は新しく現われたパパに駆け寄りました。
パパが二人になって、パパの首から噴き上がった水はロウソクの水できらきらとキレイに光って、
女の子の目に映った光景は、絵本で見てあこがれていた魔法そのものでした。


ζ(゚ー゚i!iζ「―――ひ」
 _
(*゚∀゚)「……だ。アヒャじゃない、××××××××様だ。
     ××××××××様が××××××××様がこの世に、この地にっ!
     成功じゃないか。俺は俺たちは!
     見ろ! アヒャがハインがイケニエになったから我々は冒涜たる存在に出会えたじゃないか」


(  ゚∀゚ )「まぁ、これが平均的な反応ってやつだよな」


デレお姉さんは、パパの顔を見たまま少しずつ後ろへと下がっていきます。
じりじりと後ろに歩き、少しずつパパから離れていきます。
眉毛のパパは、テレビさんが言っていた不思議な言葉を何度も何度も叫びました。
××××××××様!××××××××様!××××××××様!××××××××様!

デレお姉さんと眉毛のパパの姿を見て、パパは小さく笑いました。
パパが笑うと口が耳の辺りまで広がって、とっても楽しそうに見えました。


ζ( д i!iζ「嫌ぁっ!!!」
  _
( ゚∀゚)「デレ、どうした? さぁ、お前も喜べ!
     俺たちの夢がようやく叶ったんだぞ、あの本を見つけた時から始まった夢が。
     大学の帰りに語り合った言葉が、現実になったんだぜ!
     偉大なる××××××××様、俺たちじゃ及びも付かない境地!」


デレお姉さんが、くるりと身を翻して走り始めました。
ノートの切れ端や、赤い水に何度も転びそうになって、それでもデレお姉さんは走ります。
眉毛のパパはデレお姉さんがいなくなってしまっても、ずっと話し続けていました。


o川*゚ー゚)o「ねーねー、どうやってやったの? どうやったらまほーがつかえるの?」


女の子はと言えば、パパに一生懸命質問をしていました。
女の子の頭の中はパパが使った不思議な魔法のことでいっぱいだったからです。


(  ゚∀゚)「お前、名前は?」


パパは不思議そうな顔をすると、女の子に言いました。
女の子はパパの言葉にきょとんとして、それから少しだけ困った顔をしました。
だけど、すぐに顔を明るくして、とっても元気に答えました。


o川*゚ー゚)o「スナオ! スナオだよ」


(  ゚∀゚)「ふむ、素直か」

o川*゚ワ゚)o「うん、スナオ!」


パパはアゴに手を置いて、フムフムと頷きました。
パパの真っ黒な目が、真っ赤に光って女の子を見ます。


(  ゚∀゚)「――嘘つけ」


――そして、パパは言いました。


o川*゚д゚)o「ウソじゃないよ。だって、デレおねーさんがいってたもん
       『あなたはスナオね』って」

(  ゚∀゚)「それはお前が素直ってだけだ。素直は性質だが、本質じゃない。
      俺はお前の名前を聞いたんだ。
      親その他諸々がつけた、その存在を、本質を決定づける名前ってやつを」

o川*゚д゚)o「ウソだー」


パパの言うことは難しくてよくわかりません。
どうして、パパたちはみんな難しいことを言うんだろうと女の子は思いました。
女の子はスナオなのに。デレお姉さんだって、ちゃんとそう言ってくれたのに。
どうして、パパはそんなイジワルを言うんでしょう?


(  ゚∀゚ )「まあ、無理だよな。
      だって、お前にはパパもママもいないんだから!
      お前には、お前を決定するものなんて何も存在しない。
      このちっぽけな家を出たら、お前の存在を証明するものなんて何も残らない」


アヒャヒャヒャヒャ、パパは耳が痛くなるくらい大きな声で笑いました。


( *゚∀゚ )「お前は俺に喰われることだけが、その存在の証明。
       俺に喰われて初めて、肯定されるその命!
       だけど、俺は喰ってやらない! ッハ、ヒャヒャヒャヒャ!」

川#゚ー゚)「いるもん!おんなのこにはパパとママとおねーさんがいるんだもん!
      えほんにかいてあったもん!」


ゲラゲラとパパが笑う度に、バチッバチッと火花がはじけて消えます。
床がうねうねと動いて、ノートの文字が金色に光ります。
パパの笑いに合わせて、テレビがチカチカと光ってでたらめな歌を歌いました。


o川*;ー;)o「いるもん! パパだってたくさんいるもん!
        ママだってどっかにいるもん! デレおねーさんだっているもん!」


女の子は声を上げました。意地悪なパパに、涙をぽろぽろと流して叫びました。
絵本の女の子にはパパとママとお姉さんがいて、
女の子にもお姉さんと沢山のパパがいるのに、パパはいないなんてイジワルを言うのです。


o川*;д;)o「パパたちみんないじわる! いじわる! いじわるぅっ!!」

( -∀-)「ニンゲンは一人の父親と、一人の母親から生まれる。
        そういう意味じゃお前は正しい。おねーさんはいるとは限らないけどな」

川 ; 、;)「?」


パパが静かな声で言いました。
大きな笑いがピタリと止んで、じっと女の子の顔を見ました。
赤くなった目は暗く光り、その顔は笑っているのにとても怖く歪みました。


(  ゚∀゚ )「だがな、そいつを産んだ女と、種付けした男がパパとママだ。
      本当のパパとママは一人きりなんだよ。
      パパがいっぱいいると言う時点で、おかしいんだよ」

川 ;д;)「わかんない」

(  ゚∀゚ )「『女の子』のそばにいる『男』全てが、『パパ』じゃないんだ。
       父親だからパパなんだよ。お前は、根本から間違っているんだ」


女の子の勘違いを正すように、パパはそっと言いました。
女の子の世界を壊すように、パパは優しく言いました。
だけど、女の子がパパの言葉を理解できるはずなんか無いのです。



――だって、女の子はそういう風に教えられてはいないのですから。





(  ゚∀゚ )「お前がパパと呼ぶ男の中に、本当の父親はいない
      お前の本当のパパやママとやらは、金に目がくらんでガキを売っぱらった。
      お前がパパと呼んでいた奴らの道楽にな」

川#;д;)「ちがうもん!パパたちはパパ! ちがうっていわなかったもん!
      えほんにかいてあったんだもん!パパもそうだっていったもん!」


女の子に『パパ』や『ママ』というものを教えてくれたのは、パパのくれた絵本でした。
女の子に名前をというものを教えてくれたのは、渡辺さんでした。
『あなたは素直ね』デレお姉さんがそう言ったから、女の子は『スナオ』になりました。


o川 ;Д;)o「パパっ、パパだっていって! パパがいじめるいじわるするの!」


女の子はもう一人のパパの元に走りました。
うねうねする床を越えて、眉毛のパパの服を引っ張ります。
眉毛のパパは、意地悪なパパをやっつけてくれたから、女の子は助けてくれると思ったのです。


o川 ;Д;)o「パパにしたみたいにおこって! パパぁっ!」
 _
(*゚∀゚)「ハインはその罪を自らの命で贖った!アヒャはイケニエへとなった!
     さぁ、偉大なる×××××××××その少女はイケニエだ!
     その存在に捧げるためだけに買われ飼われここまで育てた命!」


ずっと叫んでいたパパの声が止まりました。

パパがそうしたみたいに、眉毛のパパの顔も女の子をじっと見つめます。
ねえ、パパ。いつもみたいに頭を撫でて? 抱っこして、もう大丈夫って言って?
女の子は鳴き声をあげたまま、パパの顔と眉毛を見上げていました。

  _
( ゚∀゚)「だが、何故? 何故、喰わない?」


女の子の手を自分の服から放させて、パパは言いました。
その声はとても冷たくて、いつもみたいに優しくなんか無くて、女の子は怖くなりました。
眉毛のパパは、大きな両手を女の子の肩におきました。

  _
( ゚∀゚)「それは、それは××××××××様のためだけに育て上げたのに!!!
     何のために飯を食わせた。どれだけお前に食わせた。全ては、今日という日のためなのに
     この世の中は腐っている。この世界を変えるには圧倒的な力を持った絶対者が必要なんだ。
     絶対の力、その力こそが××××××××様! その偉大な存在にようやく出会えたのに、
     それが許されたのに。ハインでもプギャーでもアヒャでもなくこの俺が、この俺だけが
     なのに、なのになのに!お前は、お前だけ、お前が選ばれたなんてことがあってたまるか!」


肩の上にあったパパの手が少しずつ上に上がり、女の子の首をぎゅっと絞めました。
女の子はその手が痛くて、それからだんだん息が吸えなくなって、口をぱくぱくさせました。
頭がガンガンして、それでも金魚さんみたいに口を動かして、目からは涙がぽろりと出ました。


(  ゚∀゚ )「お前の言う、パパってのは娘の首を締めるものなのか?」

川 ゚ -;)「―――」


何でパパは苦しいことするんだろう? 何でパパは笑ってるんだろう? 娘ってなぁに?
女の子の頭の中には言葉が泡のように浮かびました。
だけど、パパがぎゅうぎゅうと絞める首が痛くて苦しくて、すぐに忘れてしまいました。
パパは女の子の顔を見てケタケタと笑っています。

  _
(  ∀ )「お前じゃないお前なんかじゃない、お前なんか見向きもするはずがない。
     ××××××××様。邪悪で奇っ怪で冒涜的でグロテスクで美しいその狂気の!
     俺は、俺は――っ」


鼻がツンとして、目の前が真っ白になって、赤と青と黄色い光がチカチカしました。
口をパクパクできないくらいに頭がぼんやりとして、眉毛のパパの声が聞こえなくなります。


(  ゚∀゚ )「お前のパパとやらは、愉快だな。
      そうだな、お前がいい。×××××××にはコレがぴったりだ」


それでも、パパの声と笑い声だけは、しっかりと聞こえてきました。


(  ゚∀゚ )「××××××××××××××××××」
 _
(* ∀ )「―――、――××××××××××」


苦しいのか、痛いのか、何にも分からなくなって、
女の子は―――――――









   中編おわり          


                →後編へつづく

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