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( ´_ゝ`)l从・∀・ノ!リ人ハロウィン・シティのようです(´<_` )

                                        
                                        
                                        
   

              
                       
                                        
( ´_ゝ`)l从・∀・ノ!リ人ハロウィン・シティのようです(´<_` )
                                        
                                        
                                        
             
                           
ヽ( ▼W▼)ノ「ばーーーっ!!」


街中がオレンジと黒と紫で塗りたくられ、どこか落ち着かない空気を醸しだつ季節。
暑さも寒さもごっちゃになり、天候まで浮かれた10月も末のある日。
我が家の居間にオレンジと黒がまばゆいカボチャ様が降臨なされた。


( ;゚_ゝ゚)「あ、あばばばばばばばばばっ!!!」

(´<_`;)「っ。落ち着け、兄者」

( ;゚_ゝ゚)「ばばっ、ばばっば、カボチャ様だぞっ!?
      トリックオアトリートでお菓子がおかしくてたいへんな」

(´<_` )「いや、落ち着けよ。兄者」


兄者は大喜びだが、このカボチャ様残念なことに、妙に安っぽいのだ。
ペラペラの顔は絶望的に厚みに欠けており、水彩絵の具とクレヨンの香りつき。
精一杯描いたと思われる黒い目や口は、線が歪んで少々頼りない。


ヽ(*▼W▼)ノ「おかし? おかしどこなのじゃー?」


案の定、カボチャの向こう側から、聞きなれた愛らしい声が上がった。
顔を見るまでもない。 流石 妹者、俺たちの妹だ。


ヽ(*▼W▼)ノ「おやつ-、おやつーなのじゃー」


カボチャのお面は、小さい手足をパタパタとさせながら居間を歩き回り始めた。
背の小ささも、その仕草も、ひらひらと動くワンピースも、何から何まで妹者そのものだ。


(;´_ゝ`)「うぁお、弟者ぁっ!
      カボチャ様からからロリ声がぁぁぁぁっ!」

(´<_` )「そうかそうか、よかったな。
      そいつはカボチャの国からやってきた魔法幼女で、未来の兄者の嫁らしいぞ」

( *´_ゝ`)「え、マジ?! 俺、超リア充じゃん!」


しかし、俺の双子の兄である兄者は、カボチャ=妹の図式に気づくそぶりすらなかった。
ちょっと考えればわかりそうなものであるが、この不詳の兄は若干注意力に欠ける傾向にある。
弟である俺――流石 弟者――の軽い冗談も信じ込むという、間の抜け様である。


∬´_ゝ`)「あー、妹者。 お帰りー」

(*▼W▼)ノ「ただいまなのじゃっ、姉者っ! おやつはドコなのじゃ?」


一方、お菓子を求めさまよう妹は、居間のソファーを占拠していた姉者に気づいた。
中学の時のジャージ姿で、ファッション雑誌とテレビに夢中のこの姉者。
悲しむべきことに、この人こそ俺ら兄弟たちの勇ましくも恐ろしい姉なのである。


∬´_ゝ`)σ「テーブル」

( ▼W▼)「やっほーっ、なのじゃー! サスガなのじゃ、姉者」

∬´_ゝ`)「はいはい、いいところなんだから邪魔しないでね、妹者」


姉者は妹のお面を気にも留めず、手元の雑誌に目を戻した。
『何、それ?』とか、『似合うねー』とかの一言もない。
流石は姉者、全く動じない。 まるで、どこかの兄者とは正反対だ。


(;´_ゝ`)ノ「うっはー、魔法幼女――って、弟者っ! 今、姉者が魔法幼女を妹者って!」

(´<_` )「なんと」


その兄者と言えば、ソファーの方からから聞こえてきた声に残念なくらい過剰に反応した。
ふむ、ここは知らなかったフリをしてみるか。
特に意味はないが、兄者のリアクションは面白い。


ヾ(;´_ゝ`)ノ「いもじゃがー、魔法幼女でー ロリでカボチャで?
        えーと、アレ? これって魔法じゃね」

(´<_` )「流石だよな、兄者」


――主に斜め上の発想と、リアクション的な意味で。


ヾ(*´_ゝ`)ノ「え、俺ってやっぱり流石? イケメン?」

ol从・へ・ノ!リ人o「むー、ちがうのじゃー!
          妹者はまほーよーじょじゃないのじゃー」


もう少し兄者をからかって遊ぼうと思ったところで、クッキーを手にしご満悦の妹者が現れた。
顔に付けられていたお面は、クッキーが食べれるように横にずらされている。
これで正真正銘、いつもの流石 妹者である。


(|ll´_ゝ`)「お、おとじゃぁー。 い、妹者たんがイケメンじゃないって……」

(´<_` )「そうか、それはよかったな」


別に妹者がイケメンじゃないと言ったわけではないのだが、あえて適当に返事をしておく。
例に、こっちの方が面白そうだったからである。
何が起こるかわからないこの季節、ちょっとくらいの楽しみがあってもいいじゃないか。


(´<_` )「おかえり。もうお面はいいのか?」

ol从・へ・ノ!リ人o「ちっちゃい兄者はちょっとイジワルさんなのじゃ」


一通り兄者のリアクションを堪能した俺は、妹者に話しかけた。
しかし、妹者はしっかりものの幼稚園児さんだったので、思わぬ反撃を受けてしまった。
自分がどういう人間かを当てられるのは、相手が誰であれ少々傷つくものである。


(´<_` )「お茶目な弟ゴコロだ。
      人生にはこういうちょっとしたイタズラが必要なんだぞ」


兄の威厳を保つべく、とりあえず適当なことを言っておく。
どことなく、弟を前面に打ち出した発言になっているが、まあ特に問題はないだろう。


l从・∀・ノ!リ人「むむ、でもおっきー兄者がちょっとかわいそうなのじゃ」

(´<_` )「む、だったら今度は妹者をおどかそう」

l从>∀<ノ!リ人「妹者はかんたんに、びっくりしないのじゃー」


そうかそうか、それはよかった。
兄者みたいにすぐに引っ掛かってくれるのもおもしろいが、それでは張り合いがないからな。
時期がらピッタリな噂やネタは大量にあるから、何を話してやろうか……。
まあ、それは気が向いた時のお楽しみにとっておこう。


(´<_` )「ほれ、妹者。
      さっきからおもしろいくらい凹んでる、おっきい兄者にもただいまを言ってこい」

l从・∀・ノ!リ人「わかったのじゃー。
         あと、ちっちゃい兄者にもただいまなのじゃー」


かわいらしい笑顔を向ける妹者を眺めながら、俺は妹者に二度目のおかえりを告げた。


ol从・∀・*ノ!リ人o「びっくりしたのじゃ? びっくりなのじゃー!」

( *´_ゝ`)「うはーっ、妹者たんもいぢわるだなー。
      おっきー兄者、超びっくり! すごいびっくり!」


先ほどまで見事に凹んでいた兄者は、妹者のただいまにあっさりとご機嫌になった。
今は、妹者が頭につけていたお面のことで、妙に盛り上がっている。


l从・∀・*ノ!リ人「えへへー、ごめんなさいっ! なのじゃ」

(´<_` )「ちゃんとごめんさいできてエライな、妹者は」

l从^ワ^*ノ!リ人「ありがとなのじゃ、ちっちゃい兄者」


ただいまも、おどろかせてゴメンナサイもできた妹者をほめてやる。
ついでに頭をなでると、妹者はぱっと花が咲くような笑顔を見せた。
うーむ、我が妹ながらこれはかわいい。


(#´_ゝ`)「弟者どけっ! 妹者たんの頭をなでなでするのは俺だぁぁぁっ!
      そいでもって、おっきー兄者大好きって言われるんだ!!」

(´<_` )「黙れ変態」


途中で空気読まない乱入をしてきた兄者に、つい本音で返してしまった。


( ;_ゝ;)「ひどいや、弟者たん。 俺、変態じゃないもん」

(´<_` )「ところで、そのカボチャはどうしたんだ?」

l从・∀・ノ!リ人「よーちえんでつくったのじゃ。
         えのぐつかったのじゃー、すごいのじゃー!」


不幸な事故でわかりやすくいじけ始めた兄者を無視して、妹者に声をかける。
兄者はリアクションが過剰だけど根は単純なので、すぐに機嫌も直るだろう。


(´<_` )「ほう、それはすごいな。
      しかし、何でカボチャなんだ?」


ジャック・オー・ランタン。
ドングリやら、落ち葉やら、他にも季節ものはあるだろうに。
よりにもよって、カボチャなんかを……。


l从・∀・ノ!リ人「えーと、ハロウィンだからっていってたのじゃー
         よくわかんないのじゃ!」

(´<_` )「ん?」


ああ、そうか妹者は知らないのか。


(*´_ゝ`)「ハロウィンって言ったら盛り上がるもんな!」


いい意味でも、悪い意味でも。
この街以上に、ハロウィンで盛り上がる場所はない。 なぜなら、ここは――


l从・~・ノ!リ人「むー、なんでカボチャなのじゃ?
        ハロウィンってわけわかんないのじゃ」

( ´_ゝ`)「……」(´<_` )


俺と兄者はそっと顔を見合わせる。
どうする? 兄者の目がそう問いかけ、俺は兄者に視線で返事を返す。
兄者はわかったという代わりに、口元に笑みを浮かべた。


l从・∀・ノ!リ人「兄者たち?」


俺たちの無言の会話に、妹者は小さく首を傾げた。
そのきょとんとした顔が、なんとも言えずにかわいらしい。
その愛らしい妹に向けて、俺たち兄者はそっと口を開いた。


( ´_ゝ`)「ハロウィンはな、妹者」

(´<_` )「ハロウィンって言うのはな、妹者」







( ´_ゝ`)「ジャックがパレードをする夜だ」(´<_` )








( ´_ゝ`)「ジャックっていうのは、あの世にもこの世にもいられない亡霊だ」

(´<_` )「どこにも居場所のないジャックは」


兄者が、何度か繰り返された映画を再生するように言う。
何度も何度もささやかれた噂を、俺も再生する。


( ´_ゝ`)「ひとりぼっちで」

                 「さみしい」(´<_` )



俺と同じ声で、兄者が言う。 兄者と同じ声で、俺も言う。
かわりばんこで、声を合わせて、バラバラで、言う。
どちらがどちらかわからないから、やめなさい。昔、そう怒られたことがある。


( ´_ゝ`)「だから、自分と同じひとりぼっちの子どもを探すんだ」

 「いっしょにあそぼう? ずっといっしょにいよう?」(´<_` )

l从・∀・;ノ!リ人「あ、あにじゃたち?」


あぁ、別に怒らせるつもりはなかったのだ。
俺らは怖くて、おもしろくて、仕方なかったのだ。


( ´_ゝ`)「だから、ハロウィンになると」(´<_` )


俺たちの声は、ぴたりと重なった。
びくりと肩を震わせる妹者の頭には、カボチャの顔が笑みを浮かべている。
ひとりぼっちのジャックの顔は、妹者にはひどくそぐわない。


( ´_ゝ`)「ジャックがひとりぼっちの誰かを、」

                  「連れて行ってしまうんだ」(´<_` )


そして、俺と兄者は妹者の顔をじっと見て――、



( ゚_ゝ゚)「ばぁっ!」(゚<_゚  )



ひときわ大きな声とともに、両手を妹者に伸ばした。


l从;д;ノ!リ人「ギャーーー」


四本の腕が妹者の肩をつかむのと、妹者が泣きだすのは同時だった。


l从;д;ノ!リ人「やー、ぁぁぁあああああ!!!」

∬#´_ゝ`)「アンタ達っ!!! 何、妹者を泣かせてんのよっ!!」


その瞬間、雑誌に夢中になっていた姉者が大声をあげた。
ソファーから俺らのところに来ると、拳をを思いっきり兄者の頭に落した。
ゴチンという鈍い音が居間に響き、兄者は床を転げ回る。


(;´_ゝ`)「つっ~、痛い。 姉者のバカ力っ! 未来の母者っ!!!」

(´<_`;)「あ、姉者……」

ヽ(;´_ゝ`)ノ「た、確かに途中からちょっと調子にのってたけどひどいや、ひどいや!
        それにこれは、ちょっとお茶目が過ぎたけど立派な兄ゴコロで……」


再び姉者の拳が、兄者の頭を直撃した。
兄者は床に撃沈し、同じ目にあうことを恐れた俺はあわてて謝罪の言葉を口にした。
兄者じゃないが、姉者の迫力は我らが母・母者に通じるものがある。


l从;д;ノ!リ人「わ゙ぁ゙ぁぁぁぁぁんっ!!!」

∬#´_ゝ`)「妹ガチ泣きにさせる兄ゴコロがあってたまるかっ!
      母者に言いつけるわよっ!」

(´<_`;)「それだけはご勘弁を」


<(;´_ゝ`)>「お、お兄ちゃんがわるかった!ごめんよー、妹者ーーっ!」

∬#゚_ゝ゚)「誠意が足りないっ!」

l从;д;ノ!リ人「たべられちゃうのじゃー、」


言葉の限りを尽くしても、妹は泣きやまない。
大きな瞳をまっかにして、ぼろぼろと涙をこぼしている。
しゃくりあげる声はいたいたしくて、俺の胸は痛んだ。


(´<_` )「妹者。すまなかったな。
      あれは全部、兄者たちがついた嘘なんだ。
      ………ジャックなんて本当はいないんだよ」

l从;∀;ノ!リ人「でも、じゃっくが」


兄者が何かを言おうとして、口を閉じた。
姉者はというと眉をひそめたが、黙ったままだった。


(´<_` )「それにな、さっきの話が本当だとしても、
      ジャックが連れていくのはひとりぼっちの子供だけなんだ。
      妹者はひとりぼっちの子なのか?」

l从・∀・ノ!リ人「……」

(;´_ゝ`)「いっ、妹者たんは一人じゃないぞ!!」

(´<_` )「兄者の言う通りだ。
      妹者には俺たちがいる。 姉者も、母者と父者だっている」


こらえきれなくなったかのように、兄者は声をあげた。
その様子を見ていると、兄者は本当に妹者が好きなのだと思う。
俺だってそれは同じだ。


(´<_` )「俺たちはずっと一緒だ。 それでも、怖いか?」

l从・-・ノ!リ人「……」


妹者は首を横に小さく振る。
流れていた涙や鼻水を手でぬぐうと、小さく笑った。


l从・ー・ノ!リ人「ありがと、なのじゃ」

( *´_ゝ`)「よーし、それでこそ妹者たんだ!
      ハロウィンはあちこちから菓子強奪して遊ぼうな!」

l从・∀・ノ!リ人「妹者のトモダチのとこにもいくのじゃ」

( *´_ゝ`)ノ「もちろんさ、マイエンジェル!」



(´<_`*)「……」

∬´_ゝ`)「何、俺はいいこと言ってやった的な顔してんのよ。
      元はと言えば、あんなこと言いだしたアンタが悪いんでしょ」


機嫌を直してくれた妹者にホッとしていた俺に、姉者の声がかかった。
軽い口調を心がけているみたいだが、苦虫をかみつぶしたような表情をしている。
今にも、鉄拳制裁を繰り出してきそうな。そんな空気だ。


(´<_`;)「いや待て、言いだしたのは兄者……」

∬´_ゝ`)「『だったら今度は妹者をおどかそう』? ちゃーんと、聞こえてたのよ。
      『驚かそう』じゃなくて、『おどかそう』ってところが、タチが悪い。最悪じゃない」

(´<_` )「……」

∬´_ゝ`)「これに懲りたら、あんな『嘘』は二度と言わないように。
     妹者を泣かすことは金輪際禁止」


ああ、そう言うことにしておくのか。
家の中のことなんか興味ありませんってフリしておいて、姉者も妹者が好きなじゃないか。
姉者が俺らのやりとりまで、しっかり聞いていることが妙におかしかった。


(´<_`;)「……ごめんなさい」

∬´_ゝ`)「素直でよろしい」


妹を泣かせた馬鹿兄貴の俺の言葉に、姉者は満足そうに言った。
そして、妹者と楽しそうにハロウィンの予定を話す兄者に顔を向ける。


∬´_ゝ`)「よしっ、さっさと仲直りしちゃいなさい。
      妹者が泣くと家の中が辛気臭くなってたまらないわ」

l从・~・ノ!リ人「むー、妹者はくさくなんかないのじゃ」

(#´_ゝ`)「そうだそうだー、妹者たんはミルクのいいにおいがするんだいっ!」


妹者と兄者の言葉に、姉者がふきだした。
それが可笑しくて、俺も笑いだしていた。


(´<_` )「ミルクのにおいって、流石にそれは変態くさいぞ」

(;´_ゝ`)「な、なんだってー?!」

l从^∀^ノ!リ人「きゃー、へんたいさんなのじゃー」


兄者も、もちろん妹者だって笑った。




 彡⌒ミ
(;´_ゝ`)「は、早くかえるんだよー。
      危なくなる前にはちゃんと帰って、危ないところにはいっちゃだめだよ」

∬´_ゝ`)「何回同じこと言えば気が済むのよ、正直聞き飽きたわよ」

 @@@
@#_、_@ 
 (  ノ`) 「ちゃんと、弟と妹の面倒見るんだよ。
      じゃなきゃ、渡した金は取り上げ。小遣いも抜きだからね!!!」

∬;´_ゝ`)「あー、本当はトモダチと行きたかったのに……」


廊下から、母者たちの声が聞こえた。
真っ黒なロングドレスと、とんがり帽子を身にまとった姉者の少し嫌そうな声もする。
俺たちの引率をするだのしないだの、姉者たちは昨日の夜からずっとこんな感じだ。


ヽl从・∀・*ノ!リ人「準備できたのじゃー」

( *´_ゝ`)「今日の妹者はかっわいいなー」

l从>∀<ノ!リ人「えへへー」


一方、我らが兄者と妹者はのんきにはしゃぎ続けている。
包帯やら猫耳カチューシャ―やらを引っ張り、衣装の確認に余念がない。


――ハロウィン当日。


俺は、居間のソファーでぼんやりとテレビを眺めていた。
出かけられる様に準備は整えてはあるが、出発までしばらく時間がかかるだろう。
外からは商店街の流す調子っ外れの音楽が鳴り響き、いやが上にもハロウィンのムードを高めていた。


( ´_ゝ`)「おーい、おっとじゃー!行っくぞーーー!!」

l从・∀・*ノ!リ人「てんきよほーなんて、なくてもダイジョーブなーのじゃっ!」


(´<_`;)「時に、二人とも落ち着け。
      玄関に行ったって、姉者が取り込み中だ」


ああ、家の中でも外でもハロウィン一色だ。
市の祭りよりも、何の関係のない今日のほうがよほど祭りらしい。
どこの家でも、どこの店でも、どこの通りでも、仮装した子供や大人で溢れ返っている。


( *´_ゝ`)「よーし、玄関まで競争だー!」

l从・∀・*ノ!リ人「まけないのじゃー!」

(´<_` )「おい」


あっという間に二人は走り去り、居間には俺だけが残される。


<美府市で起きたあの忌まわしい惨劇から、一年が経ちました。
 通り魔の犠牲になったのは、まだ15歳の若い命。
 美府市では一昨年にも、自宅で勉強中の少年が……>


(´<_` )「ちょっと待て、という暇もなかったな」


静かになった部屋に、ニュースの音が響く。
無言で音量を下げると、ニュースをかき消すかのように外から聞こえる音楽が大きくなった。
能天気な音楽にまぎれて、『ハロウィンの来る街、美布』とよくわからないキャッチコピーが聞こえた。


<美府市では10月末に凶悪犯罪や事故が多発する傾向にあり、市は注意を呼びかけています。
 ハロウィンに各地で行われるイベントは、警備体制を強化して行われるとのことです。
 お子様がお出かけになられる際は、一人で行動することのないようお気を付けください>


10月末じゃない、10月31日だ。
ハロウィンにはジャックがパレードをする。


(´<_` )「……」


街にあふれる、オレンジと黒と紫の洪水はとまらない。
調子っ外れの陽気な音楽が流れ、お菓子が飛び交い、怪物姿の子供や大人が歩き回る。
年を経るごとに、街は賑やかさを増していく。


――誰もが怖いのだ。
ハロウィンの夜が、ジャックの噂が、ひとりぼっちが、


(#´_ゝ`)「コスプレのおにゃのこたちが俺を呼んでいるぅぅぅ!!!」

(´<_`;)「――っ」


清々しいまでに不審者そのものな兄者の声が、俺の思考を打ち砕いた。
商店街まで届きそうな声で、魔女っ子が、ケモノっ娘がと連呼する声。
生まれる前からずっと一緒の、片割れの声だ。

 @@@
@#_、_@ 
 (  ノ`) 「五月蠅いよ、兄者っ!!!」

∬;´_ゝ`)「と、いうわけだから行ってくるわ」


母者の気がそれた瞬間に、話を打ち切ろうしているのは姉者の声。


l从・∀・*ノ!リ人「おみやげかってくるのじゃー」

 彡⌒ミ
(*´_ゝ`)「妹者はやさしいねぇ」


そして、この愛らしい声は、妹者の声だ。


(´<_` )「落ち着きという言葉を知らんのか、この家族は」


ニュースの音も、商店街で流している曲も、完全にかき消されてしまっている。
考えごとにふける時間も、この家族は与えてくれないらしい。


(#´_ゝ`)「おとじゃぁぁぁぁああ!!!」


俺を呼ぶ大声と、バタバタという足音が聞こえる。
ちゃんと家族だと意識してもらえていることが、嬉しいような恥ずかしいような、妙な気分になる。
片割れの足音に耳を澄ませながら、俺はリモコンを手にする。


(#´_ゝ`)「弟者っ、遅いぞ。お兄ちゃん怒っちゃうんだから!」

(´<_` )「すでに怒っている件について」


兄者の到着よりも早く、テレビは沈黙した。
俺がマントを羽織りながら立ち上がってみせると、兄者はいぶかしげな表情をみせた。


( ´_ゝ`)「ん? 天気予報は?」

(´<_` )「何か、どうでもよくなった」


外がどんなに騒がしくても、我が家は騒がしくて平和なのだ。



( ´_ゝ`)「……弟者?」

(´<_` )「行くとするか。 妹者たちが待ってるんだろう?」


妹者が作ってきたカボチャのお面を手にする。
パレードをするはずのカボチャ野郎の顔は、俺の頭にあっさりとおさまった。


(;´_ゝ`)「なー、何かあったの弟者たん?
      いつもの口からでまかせ、さり気なく小馬鹿にした態度はどうしたん?」

(´<_` )「兄者が俺のことをどう思っていたのか、把握した」


思ってたより兄者は、俺のことをよく見ているらしい。
話の内容に少し腹が立ったが、それは兄者のパソコンのフォルダを勝手に移動することで解消しておこう。
兄者は何かあったのかと問いただそうとしていたが、話をそらしておくことにする。


(´<_` )「ほら、行くんだろう?」

(;´_ゝ`)「ちょwww置いていかないでー!!!」


楽しいお祭り騒ぎに、余計な要素を混ぜる必要なんてない。
妹者にも言ったじゃないか、ジャックなんていない、と。


∬´_ゝ`)「さー、スイーツ食い倒すわよっ!」

l从・∀・*ノ!リ人「ちっちゃい兄者が、妹者のおめんのっけてるのじゃ!」


玄関では、姉者と妹者が笑いながら靴をはいていた。
父者はいそいそとハンカチを妹者にもたせ、母者は仁王立ちで俺らを出迎えた。
何から何までいつもと変わらないのに、服だけが仮装なのが妙におかしかった。


∬´_ゝ`)「行くわよ、野郎ども!」

l从^∀^ノ!リ人「おー、なのじゃ」


姉者がガチャリと扉を開け、妹者が父者と母者に大きく手を振る。
靴箱かへ向かう兄者の後を追いかけて、俺も靴を手に取った。


( ´_ゝ`)「いってきます」(´<_` )


冷たくなった風が、体を震わせる。
商店街から聞こえる音楽が、ひときわ高らかなフレーズを奏でた。


一歩足を踏み出せば、そこはもうハロウィンの来る街。


ハロウィンにはジャックがパレードをする。
さみしい旅の道連れをさがして、ひとりぼっちの誰かを連れていく。


l从・∀・ノ!リ人「兄者たちー、はやくはやくなのじゃー」

( *´_ゝ`)「かわいい妹のため行くぞ、弟者っ!」

∬´_ゝ`)「あら、私はかわいくないのかしら?」

(;´_ゝ`)「…………えー」


だけど、俺たちがジャックに連れて行かれることなんかない。
俺には兄者がいて、妹者が、家族がいて、決して一人になることなんてないのだから。


(´<_` )「流石だな、兄者。 命が惜しくないとは」

(;´_ゝ`)「そんな冷静なコメントよりも、助けをプリーズ!!!」

∬ _ゝ )「あーにーじゃー」

ヽ( ;゚_ゝ゚)ノ「ひぃぃぃぃ!!!」


俺らはいつだって騒がしくて平和で、
だから、俺は――

ひとりぼっちの誰かが何人死のうが、どうだっていいのだ。






ようこそ、ハッピー・ハロウィン。
今年は誰が死ぬ?




END

季節もの。 予定していたハロウィンもののプロットが長すぎたので、あわてて別プロットを立てた。
ハロウィンに間に合わせるための突貫工事なので、あとでちまちま修正する予定。
総合投下するには長すぎ、スレ立てするには微妙な感じなのでブログ送りに。

どうしても、妹者が書きたかった。いまでは反省している。

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Author:nanashinodareka
だいたい行方不明です

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